「ランジェリーク」のランジェリーから始める、セルフケアのすすめ
●わたしと未来のつなぎ方 37
価値あるモノづくりへの敬意を込めて
ため息が出るほど美しく、フィット感は着けていないかのように軽やか。身にまとうと、ちょっとリュクスな気分になれて、自分の体が好きになる。「ランジェリーク」のランジェリーは、私たちの日常に寄り添い、いつでも心地よさをもたらしてくれる。
そんな「ランジェリーク」といえば、やはり特徴的なのはレース。繊細かつ優美なあしらいで、まるで肌に着けるアクセサリーのよう。特殊な機械で作られるフランスのリバーレースにこだわり、200年以上の歴史をもつ現地の老舗ファクトリーから仕入れている。
「価値あるものを、素晴らしい価値のまま残したい。上質なレースづくりへのリスペクトの思いを込めて、その魅力を広めたいと思っています」
そう語るのは、クリエイティブディレクターの有馬智子さん。2010年の「ランジェリーク」誕生以来、ブランドのモノづくり全般を統括している。有馬さんはもともとインポートのランジェリーが好きで、「ランジェリーク」でもブランド立ち上げ当初からノンワイヤーブラやノンパテッドブラ(=カップにパッドがないブラ)など、当時の日本のランジェリーブランドとしては珍しいアイテムを提案。その後、日本でノンワイヤーブラが大ブレイクしたことを考えると、時代を先取りしていたといえるかもしれない。
アップサイクルなだけでなく、遊び心も大切に
「今、こういう気分だよね、というような時代の空気感は大切にしています」と有馬さん。2021年5月に無染色のオーガニックコットンを使用した「BIO(ビオ)」シリーズを立ち上げたのも、まさに時代の気分を反映してのこと。現在、ノンワイヤーブラ、スタンダードショーツ、サニタリーショーツの3アイテムがあり、いずれも無染色ならではの素朴な風合いに、カラフルな縫い糸がアクセントとなっている。この縫い糸は実は、前のシーズンの生産時に残った糸をアップサイクルしたもの。そのときどきによってカラーが異なり、そこがまた楽しい。
「着想の源となったのは、友人がプレゼントしてくれたスニーカー。アップサイクル素材を使っていて、パーツの色がちぐはぐなのだけれど、それがむしろカッコよかったんです」
再生素材を使いながらも着心地がよくて、遊び心もある。こういう方向性もアリだな、と思っていたところに、ちょうどサニタリーショーツの開発の話があり、「BIO」シリーズが誕生したのだとか。
「はじめはウエストのゴムも残資材を再利用していました。でも、糸が残るのはやむを得ないとして、ゴムが残るということは、そもそも発注しすぎているのでは?と疑問を抱くようになって。生産の流れを見直して、今はゴムが余らないようにしています」
「自分たちが作る意味」にこだわる理由
さらに、2022年春夏シーズンからは、環境にも肌にもやさしい新たなシーズンアイテム「MYSTIC(ミスティック)」を展開。日本の伝統的な織物のひとつである播州織の産地、兵庫県西脇市のオーガニックコットンを使用し、肌触りの柔らかさは抜群。さらに、伝統的なフレンチリバーレースを贅沢にあしらうことで、美しさと着心地を兼ね備えた「ランジェリーク」ならではの逸品に仕上げた。この「ランジェリーク」らしさこそ、有馬さんが最もこだわっている部分だ。
「世の中にすでにたくさん出回っていて、消費者にとって十分足りているものと同じようなものを作ってしまったら、それは過剰なものとなり、そのために素材を使用することは結果的に環境に負担をかけることになります。だから、この時代に私たちが作る意味、というのは常に自問自答しています」
気分や体調に合わせてランジェリーを選ぶ
「BIO」「MYSTIC」をはじめ、「ランジェリーク」のアイテム全般から感じるのは、プレイフルなムード。デザインや素材選びにちょっとした遊びがあり、ランジェリーをもっと自分らしく、自由に楽しもう、というメッセージを感じる。
「何を好きと感じるかは、一人ひとり異なるもの。ランジェリー選びも素材にこだわる人もいれば、機能性を何よりも重視する人、とにかく可愛いことが最優先!という人もいる。全部が正解で、それこそが個性だと思います」
そう語りながら、「ただ、個人的に感じるのは……」と続ける有馬さん。
「天然素材のランジェリーって、着心地だけでなく、その日の夜の疲労感が全然違うんですよ。肩の凝り具合や、体への跡のつき方も。なので、選択肢のひとつとして、オーガニック素材や天然素材のランジェリーをご自身のコレクションに加えていただくのはとてもヘルシーなことだと思います」
体調によって食事の内容を調整するように、その日の気分や身体の状態に合わせてランジェリーを選ぶのは、素敵なこと。例えば、テンションを上げたい日は華やかに、お疲れモードの日はオーガニックコットンでなど、自分自身をいたわり、毎日をさらに豊かなものにするために、試してみてはいかがだろうか。
ちなみに、有馬さんの11歳になるお嬢さんは「BIO」のノンワイヤーブラをファーストブラとして身に着けていて、本人も気に入っているそう。フランスなどでは子どもの頃から自分に合ったインナーを身に着ける心地よさを学んでいくというが、ここ日本では残念ながら、そこまでの教育に至っていないケースがほとんど。上質なインナーを身につけることは、自分の体を大切に守るという意識づけにもつながる。次の世代にどんなバトンを渡すのかという意味でも、私たちはランジェリーに対して、ひいては自分自身の体に対して、もっとコンシャスであるべきかもしれない。
ランジェリーク
“いま”という時代を生きる女性の思いに応えるため
ルミネは持続可能な人々の生き方や社会のあり方に
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https://www.lumine.ne.jp/
Text: Kaori Shimura, Photograph: Saki Yagi, Edit: Sayuri Kobayashi
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