高梨臨さん、主演ドラマ『バツモテ』では年下男子と恋愛。私生活で大切なのは「家族との時間」

MBSドラマ特区で放送中の『バツイチがモテるなんて聞いてません』(以下、『バツモテ』)。夫の不倫を機にバツイチとなったことで、年下の男子からアプローチを受け、戸惑いながらも新しい一歩を踏み出す主人公の小野和葉を演じるのは女優の高梨臨さん。年下男子との恋愛ドラマについての思いや、いつも軽やかな印象の高梨さんの20代からの仕事観の変化について伺いました。
【画像】高梨臨さんの撮り下ろし写真 高梨臨さん、夫は槙野智章さん 「うまくいかないときは彼に相談。メンタルモンスターだから!」

――夫の不倫が原因でバツイチになる役どころです。主人公の和葉という女性をどんなふうに捉え、どう演じようと思いましたか?

高梨臨(以下、高梨): オファーをいただいた時には、「この役、私でいいのかな」と結構、驚いたんです。自分が10歳以上年下の若い男の子ふたりからアプローチされるというシチュエーションがまず想像できなかった。でも、台本を読むにつれて、主人公の和葉とは年齢も近いし、バツイチになるまでは似たような境遇で過ごしてきたのかなと。年齢によって何かを躊躇したり、恥ずかしさがあったり、「ちょっとイタいな、自分」と思うことは私にもありますし。本当にそのままの気持ちで、等身大の自分が今、感じていることを、ちゃんと出しながら演じていけるといいなと思いました。

――放送前には「このドラマに私も勇気をもって挑戦します」とコメントを寄せていらっしゃいましたが、その「勇気」とはどんなことを指していますか?

高梨: いわゆる今どきの若い、かっこいい、かわいい男の子と恋愛をしている自分がちょっと恥ずかしかったので。「既婚者なのに、若い子と恋愛する役をやるなんて、浮かれてる」って思われるんじゃないかという点も不安でした。でも、物語の中の和葉のように、まわりが止めてもいっちゃえ!というか、ポーンと踏み込んでみようと思った。勇気を出してみようと考えました。

夫や家族には思ったことを伝える

――離婚という人生の大きな転機を経ても、仕事仲間の前で明るく振る舞おうと努める和葉に共感する部分はありますか?

高梨: 私も同じタイプだなって。無理して明るく振る舞うというわけではないですが、他人に心配されるのが苦手なので、見せないようにすることは多いですね。本当に限界を超えて見せてしまうということは、もちろんあるとは思うのですが。

――気を遣われるほうが、かえって窮屈だったり?

高梨: はい。役者の仕事をするにあたって、フラットでいたいと思っているんです。お仕事相手の前で怒ったり、焦ったりしている姿はあまり見せたくないから、心を穏やかにするように心がけています。

――自分の感情を俯瞰で見ることが、できるということですよね。

高梨: 損得で考えちゃうというか、「今ここでイライラしても自分の芝居に影響が出るだけだから、気にしないようにしよう」って割り切るようにしていますね。プライベートでも同様で、友人に対しても若いときとは向き合い方が変わったように思います。ケンカをしても何の得にもならない、学生じゃないから、ガーッてぶつかり合うよりは相手が納得して気持ちよくなってくれる方がいいやって。家ではたまに爆発することもありますけどね(笑)。

――パートナーやご家族と向き合う時は、また違うんですね。

高梨: そうしないと、どこにも本音を出せなくなっちゃいますしね。夫や家族には思ったことはきちんと伝える。だからこそ、家族との時間はすごく大切です。自分自身でいられる場所、というか。

人とつるまないキャラでいたこともあった

――キリッとクールな中にも可愛らしさのある女性の役が高梨さんにはピッタリですが、普段からそういった印象を持たれることも多いのではないでしょうか?

高梨: クールな役、多いんですよね。それはいつも不思議です。実際の私は結構ヘラヘラしているので(笑)。

――お仕事の現場でもフランクでいらっしゃるんですか?

高梨: よっぽど集中しなくちゃいけない現場でなければ、普段通りだと思いますね。でも昔……20代の前半はもう少し硬かったかもしれないです。人とはつるまないキャラという感じで。でもある日、「何やっているんだろ、私」って思って、そこから普通にすることにしました。

――どうして当時はそんなふうに振る舞っていたのでしょう?

高梨: どうしたらいいか、わからなかったんですよね。仕事を始めて、一気にたくさんの人と出会って……どういう人と付き合っていけばいいのかもわからないし。だから怖くなってしまった部分もあって、共演者やスタッフさんとあんまり喋らないようにしていた時期があったんですよ。人間不信とかでは全然ないんですが、自分のやることだけをただ頑張ればいいと思ってた。「芝居のことだけ考えてます」って空気を出しておくことでシャッターを閉じて。すぐにそれは違うっていうことに気づくんですけどね。

一緒の現場だった吉高由里子ちゃんが素敵で…

――20代前半だと、周りの空気に飲まれてはいけないとか、漠然と「負けたくない」という気持ちを持ったりしがちですよね。

高梨: 本当にそう。でも、いろんな現場でいろんな人に出会って、主演の方が現場を盛り上げてくれたり、スタッフさんが気遣って声をかけてくださったりするのを見て、現場の空気ってこうやって作っていくんだなって思うようになって。9年前の『花子とアン』(NHK連続テレビ小説)で1年間、吉高由里子ちゃんと一緒の現場だったんですけど、すごく素敵で、みんなに愛されていて。主演ってこういうことだよなぁって。ただ、まったく同じようにできるわけではなくて、私は私なので。主演としてどんなふうに空気を作っていこうとか、そんなことも考えながら、仕事と向き合うようになりました。

――今、「バツモテ」の現場で"座長”としてどんなふうにみなさんに接していますか?

高梨: 年下の出演者も多いし、変に気を遣われたり、距離が出てしまったりするのも嫌なので、とにかく共演者のみんなには話しかけまくっています。この間は綱(啓永)君が朝からコンビニでパフェを買ってきて食べていて「朝パフェ!?」って盛り上がった。20代の子たちが当たり前にTiktokを見ているのにジェネレーションギャップを感じたりすることもありますけど(笑)、良い空気で現場を作っていけたらと思っていますね。

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●高梨臨(たかなし・りん)さんのプロフィール

1988年生まれ、千葉県出身。主なドラマ出演作にNHK連続テレビ小説「花子とアン」、「恋がヘタでも生きてます」(日テレ系)、NHK大河ドラマ「西郷どん」、「結婚相手は抽選で」「PICU 小児集中治療室」(ともにフジ系)など。主演映画「ライク・サムワン・イン・ラブ」は第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた。日英合作映画「Cottontail」が2023年に日本公開予定。サッカー元日本代表の槙野智章さんと18年に結婚し、モデルとしても活躍中。

■ドラマ特区『バツイチがモテるなんて聞いてません』

2月23日(木)より順次放送開始
出演:高梨臨、綱啓永、塩野瑛久、岩井堂聖子、遠山俊也、余貴美子ほか
原作:亀奈ゆう/COMIC ROOM『バツイチがモテるなんて聞いてません』(双葉社刊/Cygames)
脚本:我人祥太
監督:のむらなお、山口雄也

大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
1983年生まれ。出版社勤務を経て、2008年 フリーランスフォトグラファーに。「温度が伝わる写真」を目指し、主に雑誌・書籍・web媒体での撮影を行う。