地球にも私たちにもやさしい、天然甘味料のスイーツ「QBG Lady Bear」
●わたしと未来のつなぎ方 35
3つの天然甘味料の魅力を発信
罪悪感がないギルトフリーでありながら美味しくて、しかも、地球の未来にやさしい。そんな三拍子揃った自然派スイーツショップ、「Lady Bear」。2016年4月、JR新宿駅のニュウマン新宿の誕生と同時にオープンして以来、多くのファンの心をつかんでいる。
開店当初から不動の人気を誇るのが、「ジャースイーツ」。クリームやムース、ジュレなどがボトルの中で何層にも重なるフォトジェニックな見た目と、ボリューム満点でありながらすっきりした食後感であるところが、自分用にはもちろん、手みやげにもぴったり。このほか、豆腐のレアチーズケーキ「とうふレア」や、生地に山芋を配合した「やまいもベイクド ミニ」など、ヘルシーな自然素材を用いた生菓子や、グルテンフリーの焼き菓子、愛らしいクッキーやチョコレートなど、幅広い商品が揃う。
「Lady Bear」の最大の特徴は、はちみつ、メープルシロップ、アガベ(リュウゼツラン)シロップという3つの天然甘味料を使用していること。実は「Lady Bear」は、1931年創業の天然甘味料専門メーカー「クインビーガーデン(QBG)」が、天然甘味料の魅力をより広く発信したいという思いから立ち上げたスイーツブランド。「クインビーガーデン」の名前は私たち消費者はあまり聞き慣れないけれど、業務用の天然甘味料の販売や自然派スイーツのOEM製造を行う会社として、業界では広く知られている。
不治の病がきっかけで養蜂の道へ
「クインビーガーデンの創業者である松田正義が、戦前、療養のために当時は高級食材だったはちみつを食したところ、快方に向かったというのが、すべての始まりでした」と広報の近藤智美さん。はちみつは、有史以前から人類が食用のほか、薬用としても利用してきた素材。松田氏は、この自然の恵みをもっと多くの人に届けたいと、養蜂の道に進んだのだそう。1953年にはローヤルゼリーの量産方式を世界に先駆けて開発。その翌年には、世界中から美味しいはちみつを輸入する取り組みもスタートした。
「海外で現地の生産者と交流する中で、カナダにははちみつだけでなく、メープルシロップという良質な天然甘味料があることを知り、さらに、メキシコでもGI値が低い天然甘味料のアガベシロップと出会い、3つの甘味料を軸とする現在のかたちへとつながっていきました」(近藤さん)
自然との“共生”も重視
はちみつもメープルシロップもアガベシロップも栄養素がバランスよく含まれていることは、美容や健康に興味のある人ならご存じだろう。さらに知っておきたいのは、古代から人々とともにあるこの3つの天然甘味料は、現在も地球環境や産地の生活を支えているということだ。そして「クインビーガーデン」は、現地の生産者と公平かつ透明性の高いコミュニケーションを取っていくことを大切にしている。
「例えば、はちみつ。植物の受粉を媒介するミツバチが生態系のなかで果たす役割は大きく、ミツバチが健全に活動することがその土地の豊かさにつながっています。当社は世界各地の生産地に足を運び、信頼のおける生産者と直接コミュニケーションを取りながら、ミツバチを搾取しないアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点も重視しています」(近藤さん)
そんな「クインビーガーデン」が仕入れる天然甘味料は、老舗かつ専門業者だけあって、種類が豊富。「Lady Bear」では作るスイーツのコンセプトに合わせて、花や産地で味の異なるはちみつのどれを使うかを厳選している。
「メープルシロップは樹液を採取する時期によって、ゴールデン、アンバー、ダーク、ベリーダークの4種類に分かれています。マスカルポーネ生クリームにはアンバーで柔らかな甘さをプラス、コーヒージュレや卵黄クリームにはより風味の強いダークを用いるなど、配合は熟練パティシエの腕の見せどころ。はちみつも10種類ほどをスイーツに合わせて使い分けています」(近藤さん)
新たな使い方、研究熱心なスタッフまで
はちみつやメープルシロップの香りを強調するような香料は加えず、素材本来の味を生かすというのも、天然甘味料専門メーカーならではのこだわり。生菓子も焼き菓子もひと口ごとにやわらかな風味が広がって、いくらでも食べられてしまいそう。「ここ数年は男性のお客さまも増えてきました」と教えてくれたのは、Lady Bear ニュウマン新宿店の店長である新倉麻未さん。
「オープン当初は30代、40代の女性が中心でしたが、コロナ禍を経て、ヘルシーなライフスタイルを心がけるようになった方が増えた影響だと思います。身体に入れるものに対するみなさんの意識が高まってきた結果、性別や年齢を問わず(※)、幅広い層のお客さまが購入してくださるようになりました」(新倉さん)
店頭ではスイーツだけでなく天然甘味料そのものも販売していて、そちらを目当てに来店する人も。アガベシロップは煮物などの和食にも重宝することから、年配の常連客もいるとか。
「スタッフは全員、『Lady Bear』のアイテムに愛着をもっていて、天然甘味料に関する知識も豊富。しかも研究熱心で、『この乳製品にはこれが合う』など、使い方をあれこれ試しては、情報を共有しているんです。気になることはどんどん質問してください」(新倉さん)
いろいろな面で安心できる、「Lady Bear」の天然甘味料と自然派スイーツの世界。ぜひ、お店を覗きに出かけてみては?
※1歳未満の乳児がハチミツを食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがあります。ハチミツおよびハチミツを含む食品は1歳未満の乳児には与えないで下さい。(参考:厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」)
QBG Lady Bear
“いま”という時代を生きる女性の思いに応えるため
ルミネは持続可能な人々の生き方や社会のあり方に
貢献するプロジェクトを応援しています。
https://www.lumine.ne.jp/
Text: Kaori Shimura, Photograph: Ittetsu Matsuoka, Edit: Sayuri Kobayashi
-
第67回使い切れなかったコスメをクレヨンに再生。「COSME no IPPO」
-
第68回光の演出で包み込む デザイナー迫田悠さんが手掛ける映像空間の魅力
-
第69回地球にも私たちにもやさしい、天然甘味料のスイーツ「QBG Lady Be
-
第70回子ども向けバイリンガル劇団を主宰する草野七瀬さん。国籍も言語も越え自由で
-
第71回「THREE」からの新提案。今の時代にふさわしいスキンケアとは?