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わたしと未来のつなぎ方

毎日の買い物から始まる、人と地球に優しい暮らし。社会を変えるグローサリーストア「フード&カンパニー」

生産者の顔が見える野菜やフルーツ、製造過程がはっきりしている加工食品など、こだわりの食料品が並ぶグローサリーストア「フード&カンパニー」。日々の小さな買い物の積み重ねがサステナブルな暮らしにつながる——そんな発想から7年前にお店をオープンした白冰(バイビン)さんと谷田部摩耶さんの物語には「幸せとは何か?」という究極の問いへの答えが隠れていました。

●わたしと未来のつなぎ方 15

それぞれが抱いた、社会に対する違和感

まるで海外のおしゃれなスーパーマーケットのよう! それが、東京・学芸大学駅近くにあるグローサリーストア「フード&カンパニー」の第一印象。店頭にみずみずしい野菜やフルーツが並び、なかにはちょっと珍しい品種もあり、ポップには産地や農薬、化学肥料の使用状況などの表示、おすすめの食べ方などが書かれている。その奥にはさまざまな食料品が。手に取って原材料を見てみると、添加物を使わずシンプルな材料でつくられた安心、安全なものばかり。店内は明るく活気に満ち、スタイリッシュでありながら機能的。通路が広いのでストレスがなく、商品をゆっくり吟味できるのもいい。つまり、とにかくセンスがいい店なのだ。

「フード&カンパニー」の物語は、⽩さんと⾕⽥部さんの出会いから始まる。当時、白さんはニューヨークの大学でファッションを、谷田部さんは同じくニューヨークの大学院で国際開発を学んでいた。20代半ばで日本に帰国し、白さんはアパレルメーカーに就職、谷田部さんは国際開発関連の仕事に就くが、まもなくそれぞれの領域で違和感を抱くように。

「大量生産、大量消費のサイクルの中で、利益はどんどん上がる一方、同僚たちは疲弊して次々と辞めていく。社会の幸せのかたちって何だろう? と」(白さん)

「途上国支援の仕事を通して、物質的には厳しくてもいきいきと輝いて生きている現地の人たちに出会ううちに、経済発展が主軸の考え方にある閉塞(へいそく)感を覚えるようになりました」(谷田部さん)

右から白冰さん、谷田部摩耶さん。資源やエネルギーのロス、製造や物流における環境負担など社会の課題について学び、取り組みつつ、真の意味でのオーガニックの価値を伝える“新しい小売店のかたち”を目指している

食料品という、日常に根差したものをメディアと考える

理想の働き方をゼロから見直したいと考えた二人は、国内外をリサーチする旅へ。さまざまな人との出会いから、自分たちが目指したい暮らしのあり方を再確認できたという。

「例えば、何げない毎日の食事。大切だと思う仲間との満たされた時間。そんなふつうの毎日の中にある温かみこそ、幸せと呼べるのではないか。その価値を再発見し、ビジネスを通して伝えていきたいと考えました」(白さん)

「まずは先進国のあり方を変えないと、世界は変わらない。自分たちにとっても身近な都市である東京の暮らしを変えることから始めたいと思ったんです」(谷田部さん)

その手段として考えたのが、本当にいいもの、つまり、人にも地球にも優しいものだけをセレクトしたグローサリーストアを立ち上げること。食料品という人々の日常に根差したものをメディア(媒介物)として、自分たちのメッセージを伝えていくというやり方だ。

「社会を変えるには、目の届く小さな規模で長く続けることが大事。住宅街のあるエリアに開く、子どもやお年寄りが親しみやすい雰囲気をつくるなど、普通の人の日常に入り込めるようなお店づくりを考えました」(谷田部さん)

たしかに、おしゃれではあるけれどエッジィすぎず、気軽に入りやすいのも「フード&カンパニー」の魅力。食材の仕入れにあたっては独自のガイドラインを設定。そこにはオーガニックという言葉も含まれているが、必ずしも認証をとっている食材だけが並ぶわけではない。認証はなくても自然の摂理や環境を重んじるつくり手の姿勢や彼らとの信頼関係を大切にしていて「ラベルより本質が大事」という二人の心意気が伝わる。

「柔軟でありたいと思っているんです。“解”は変わっていくものだから、軸をもちながらも、常に模索はしていたい」(谷田部さん)

(右から)「秘伝ハーブヴィネガー」、「アルル塩」、鎌倉ヨロッコビール「スイング&ボップ」、コーヴァル「ミレット ウイスキー」など、大手のスーパーではなかなか取り扱いのない、ちょっと珍しい商品も

エキナカから、不特定多数の人に発信するという新たな挑戦

そんな二人の新たな“解”のひとつが、2018年、ニュウマン新宿のエキナカに「MiNi by FOOD&COMPANY」をオープンしたことだろう。「自分たちのメッセージを広く伝えるために、幅広い属性の人たちがアクセスする場所にもスペースを持つ必要性を感じていた」という彼らにとって、不特定多数の人が寄り道するエキナカはちょうどいいスポットといえる。

「キオスクのような機能を持ちながら、一般のキオスクとはセレクトの基準が違うのがこの店の特徴。急いでいる方も多いので、学芸大学店と違い、接客を通して商品の魅力をアピールすることは難しいのですが、そこは商品の力に託してみよう、と」(白さん)

ニュウマン新宿店オープンから3年経ったいまでは、毎朝お気に入りのコーヒーを買ってから職場に向かう人や、この店がきっかけでクラフトビールに凝りだし、帰りがけに必ずおつまみと一緒に買っていく初老の紳士などの常連客も。

「裾野が広がった実感があります。『いつも飲んでるこれって、実は環境に配慮してつくられてるコーヒーだったんだ』といったふうに、消費者が知らず知らずのうちに巻き込まれていくというのは、ある意味、理想的なかたちですよね」(谷田部さん)

お弁当は、店頭で販売している食材や調味料を主に用いた、安心・安全にこだわったもの。自社のキッチンで調理するので、十分に新鮮だが店頭では販売しきれない素材を使うなど、フードロス削減にも貢献

利益が上がっても、幸せを感じられなければ本末転倒

現在はさらに一歩踏み込んだ活動として、専門家をゲストに招き、環境や資源について学ぶ社内勉強会なども行っている。いずれは顧客や生産者を巻き込む形でワークショップやセミナーなども開催していく予定だ。「フード&カンパニー」を立ち上げて7年。二人はあらためて、こう振り返る。

「起業を決意したときに私たちが社会に対して抱いていた大きな違和感のひとつが、行き過ぎた利益至上主義でした。利益を上げることが最も重要な目標とされ、働いている人の幸せが二の次なのは本末転倒。自分たちを含め、みんなの意識を変えていく必要性を感じました」(白さん)

ビジネスをする以上、利益は大切だけれど、その利益は何のためかというと、関わる人みんなが幸せになるため。利益が残っても幸せでなければ、そこには何の意味もないのだ。

「経済の仕組みのなかでもいちばん身近な“消費”のかたちを、一人ひとりが問い直す。そのきっかけづくりをしていきたいと考えています。とはいえ、仰々しくなく、軽やかで、無理なく続けられるものでありたい。それが、私たちがいまのビジネスに至った経緯です」(谷田部さん)

消費することは、私たちがどういう社会をつくっていきたいかの意思表明でもある——谷田部さんのそんな言葉に、一消費者として深く頷(うなず)かされた。単に「欲しいから」買う、「安いから」買う、という考え方は、いずれ時代遅れになる日が来るかもしれない。

学芸大学店の店頭は大きなガラス張りで開放的なイメージ。店舗は「MiNi by FOOD&COMPANY」のほか、湘南T-SITE店も人気

Text: Kaori Shimura Photograph: Ittetsu Matsuoka Edit: Sayuri Kobayashi

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