肉×クラフトビールが意外やギルティフリーだと知った夜【03四谷三丁目】
●今夜もえびてん飲み【03四谷三丁目】
連載3回目は四谷三丁目でひとり飲み。繁華街にはない色気を放つ、歴史深き四谷荒木町。ひとつは行きつけを作りたいと思っていました!さて、どこに飲みにいこうかな…?
オトナのお一人飲みは四谷荒木町でひっそりと肉を頬張りつつ
新宿の喧騒から少し離れ、昼間は地元の住民やビジネスマンが行き交う四谷三丁目。江戸時代はお屋敷町、明治になると花街として栄えた「四谷荒木町」エリアは地域に愛される飲食店や食通を唸らせる名店が今もひしめいています。
この通な町で、友人や同僚との飲み会ももちろん楽しい!
しかし話題はめっきり”健康と保険”についてだし、体を気にして、最近はビオだとかナチュールだとか「前菜の盛り合わせ」を頼んでおけば間違いない的な消極的な食事に収まりがち。
足らない。何かが足らない。
そう、ジャンクだ。うまいジャンクが食べたい!
ということで、今夜は四谷荒木町で自分の欲望と向き合います!
四谷荒木町のゲートウェイ、杉大門通りにたどり着き上を見上げると大きな「肉」の文字。今夜はここ「バーグホリック (BURG HOLIC)」へ。「挽き肉に魅せられた」という、オーナーこだわりのハンバーガー・ハンバーグが食べられるお店です。
アイアンウッドなインテリアで洗練されつつも落ち着く店内。分煙で喫煙者にも優しく、ペットと入れるコーナーもあるそうです。
ハンバーガーのお店では珍しくコースメニューがあるとのことで、この日禁煙エリアはコースの団体さんで満席!(ハンバーグ&ハンバーガーで宴会って、ちょっと意外だけど楽しそう)
ということで私は喫煙席に座りましたが、大きな窓と高い天井で開放感があり、空調も万全。タバコのにおいは全く気になりませんでした。
驚くべきは、単独女性の来店率の高さ。団体客以外のお客様の半数以上が、女性のおひとりさまだったのです。シンパシーを感じつつ、メニューに目を通します。
えびてん流一人飲みの極意:クラフトビールは新体験の宝庫。私を信じて冒険して!
ワインもあるけど、ここはお店おすすめのクラフトビールでスタート!
日本各地の地ビール含め、常時46種類のクラフトビールのほか、期間限定・数量限定のクラフトビールも取り揃えています。詳しくないという方は、迷わずスタッフさんに相談を!ビールが苦手だという方も、どうか一度クラフトビールにチャレンジしてほしいのです。炭酸の強いものに穏やかなもの、苦みの効いたIPAに、甘いだけじゃないさわやかなフルーツビール、「え?これがビール?」の新鮮な驚きがきっとあるから。
こちらは、一回の仕込みでできた1000Lが、数秒で完売してしまうという伝説のIPA。その名もMARS(火星)、醸造所もUCHU BREWING(うちゅうブルーイング)というから、いったいどんな味?と期待いっぱいにそっとひと口。……おお、なんという華やかさ!柑橘のようなアロマにキリッとした苦味。一度飲んだら忘れられなくなるビールです。入荷したタイミングを狙って来るお客様もいるのだとか。
フルーツのクラフトビールは女性に人気抜群。フルーツと言えど、甘いものばかりではなく、ドライなものまで味は様々。カクテルのような感覚で楽しめます。
最近スタウト(黒ビール)にハマってる私。ビアへるんは中でもチョコレートのようにマイルドな香ばしさで、スタウトが初めての方にもおすすめです。
自由度が高く個性豊かなクラフトビールなら、自分に寄り添う一杯に出会えるはず。ひとり飲みだからこそ挑戦できる。この少しの冒険心が、カチカチになった心を和らげてくれる気がするんです。
お肉=ギルティかと思いきや、一口目の感想は「優しい」
お目当てのお肉へ!挽き肉に魅せられ、このお店をオープンしたという、オーナーの中村さんにおすすめを伺いました。
まずはハンバーガーから。19種類もあるハンバーガーから、一番人気のベーコンエッグチーズバーガーをチョイス。
あー、このメルト感。ご褒美すぎる!
思わず笑顔に。誰の目も気にせず、大きな口でかぶりつきます。それだけでもう幸せ!ストレスが飛んでいきます。
あれ、もっとジャンクさがガツンとくるのかと思いきや、……優しい!
中村さん:「そうおっしゃる方は多いですね。僕自身の経験で、海外のホテルのルームサービスでハンバーガーを食べたとき、美味しくないし喉が乾いてしかたなかったんです。だから喉が渇かないバーガーを作りたかった(笑)。スパイスを入れて誤魔化すのではなく、肉本来の味とレシピのバランスでこの味に仕上げました。また、ベーコンは三元豚を店内の燻製器でスモークした自家製ベーコンを使用しています」
ダイナー系のハンバーガーにしては、バンズはふわふわ柔らか。薄くスライスされた野菜はとても食べやすく、豚の清らかな甘みがあふれる雑味のないベーコンが絶妙なアクセントに。よく知るバーガーのようでいて、一つひとつの素材が想定外なのです。
中でも、粗くミンチされたパティはシンプルかつダイレクトにお肉のおいしさが伝わります。パリッと香ばしいパティの表面を破ると、ぱっと口の中で肉汁が広がって、クドさは全くなし。いくらでも食べられちゃいそうだ……。
食べすすめて気づいたのは、バーガー袋が全く汚れないこと。
ハンバーガーって、大抵ぐしゃぐしゃになりませんか?
それが汁ひとつこぼれないんです。野菜もお肉もたっぷりなのに、不思議!秘密を聞いてみると……
中村さん:「素材のバランスの他、バンズのヒール(下のパン)に卵を塗るなど、バーガーがへたらないように工夫しています。崩れないハンバーガーが作りたかったんですよ。食べやすさもあってか、お客様は女性が本当に多いです。近隣にお住まいのマダムもここでハンバーガーを召し上がるんですよ」
ダイナミックで眼福な見た目とは裏腹に、繊細な心遣いのバーガー。
お次はハンバーグで挽き肉の魅力に更に迫ります!
こちらも12種類のハンバーグメニューの中から、10段階で辛さを選べる人気のハンバーグをチョイスしました。作りたてのフレッシュなサルサは酸味軽め! 辛味は爽やかに鼻に抜けます。こちらのお肉も超粗挽きで、ギュッとお肉の質感を感じながら切り分け、口に含みます。
旨い。肉の旨味が噛めば噛むほど暴発します。
肉本来の美味しさってステーキじゃないとわからないと思っていました。ハンバーグってこんなにキチンとしたお肉料理なんですね。
中村さん:「肉をミンチにするからには、正肉(しょうにく)以上においしくないと意味がないと思っています。玉ねぎの酵素の働きやこね具合、塩加減、全部細かに突き詰めたレシピです。お店を開くまでに肉も様々試しました。和牛なども試しましたが、脂が流れてしまいミンチにすると美味しさが損なわれます。色々試した中で、ベースはブラックアンガスにたどり着きました」
「ブラックアンガスは中年がうまい」に励まされた夜
中村さん:「ブラックアンガスは赤身を使っていますが、普通に注文するとロットによって味のブレが大きいんです。ですからアメリカから船に乗せる前、飼育中の段階から注文をするんです」
こだわり抜いた厳選ブラックアンガスの赤身は味が濃く、脂はきめ細かでしっとりとしています。注文のタイミング次第で、アンガス牛はこんなに味わい深くなるのか…!
中村さん:「市場に出回っているのは、若い牛なんですよね。どこも大きく育てて早く売りたいから、若い牛が出回る。
でもね、牛は少しいってる方がいいんです。
若い牛は水っぽいのに対し、赤身感が出てくるのは少し中年。中年の方がおいしいんですよ。長く育てる分だけコストはかかりますが、僕が仕入れでこだわっているのはその部分です」
若い牛より、中年の牛の方がおいしいとな…!
中村さんの牛肉話で、なぜか自分自身が励まされたような気持ちになりながら、お肉を頬張る私。私もきっとこれから人生の「最高のタイミング」が訪れるんだと希望をみなぎらせ、もぐもぐと顎を動かします。
余分なものは一切排除し、牛肉本来の美味しさを追求したメニューたち。ワイルドな見た目ですが胃は決して重くならず、平らげて初めてその量に驚きます。好きなものをお腹いっぱいに食べるって、そういえば最近していなかったな。
健康も大事。保険も大事。だけどバイタリティはもっと大事。スカッとする見た目と、想像以上に罪悪感少なめなバーガーで、ストレスフリーな夜を過ごしませんか?
【おわりに】
帰り際自分の服を嗅いでも、食事のニオイが気にならないところも魅力のひとつでした。
実はランチタイムが穴場とのこと!お昼からクラフトビールとお肉も、バレずにいけるかもしれない…(笑)
バーグホリック (BURG HOLIC)
住所 東京都新宿区四谷3-3 エスパスコンセールビル 2F
電話番号 03-6709-9811
営業時間 月〜土 8:00~23:00(L.O 22:00)/日曜 8:00~17:00(L.O 16:00)※月曜祝日の場合、営業時間繰り下げ/定休日 木
https://www.instagram.com/burgholic_yotsuya/