【ふかわりょう】されど元号
●ふかわりょうの連載エッセイ「プリズム」27
かつてお伝えしました「ヘイセイサイゴノン」が猛威を振るっています。新元号の発表によって若干勢いは弱まったものの、最後の最後まで暴れることでしょう。
さて、「令和」になりました。実際の改元、即位の日は5月1日なので、発表はどのタイミングでキャッチしてもいいと思っていましたが、前夜あたりからそわそわしだし、結局テレビの前で待ち構えてしまいました。そして掲げられた、「令和」の文字。
まさかこのような文字が登場するとは思わなかったので、口に入れてみたら意外な味でうまく飲み込めないというような感覚があったのですが、よく噛んでみたら、「これ、いいかも!」と、すーっと腑に落ちていきました。
見れば見るほどクール。新しいのに重みがあって、浮ついていない。穏やかさの中にも垣間見える力強さ。すっかり好きになってしまいました。それにしても、元号ってなんなのでしょう。
間違いなく世の中は明るい雰囲気になりました。平成の時は、自粛ムードからお祭り騒ぎになるわけもなく、ただ、「平成」という文字を受け入れるしかありませんでした。しかし、今回はどこかお祭りムード。たかが元号とは言いませんが、元号が何をしてくれるわけではありません。天皇が交代し、新しい時代が始まるわけですが、自分自身が何か変わるわけでもありません。それなのに、この高揚感はどこからやってくるのでしょう。多大なるパワーをいただいている気がします。
ご存知のように、一世一元の制は明治から。かつては天災などが続くと元号を変えていたそうで、気分転換、リセット的な役割も果たしていました。だから、元号が変わることで心機一転できるのは、DNAのせいかもしれません。
それは、夜が明けるようなこと。平成という長い一日が終わり、新しい朝を迎える。もしくは、部屋の模様替え。新しい髪型、新しい恋人。OSのアップデート。新しい楽章。古来より続く駅伝の中継地点。元号が変わるということは、元号が変わるということでしか得られないことなのでしょう。
大人になると進学のような機会がないので、改元は貴重な機会。新しい時代を迎える喜びは、生きている喜びでもあるのでしょう。
そうして迎える、平成最後の夜。若者たちは渋谷に集まるのでしょうか。平成を彩ったコスチュームで身を包み、渋谷に集結。商店街のみなさんは本当に大変かもしれませんが、もはや、ことあるごとに渋谷に集結するのがこの国の風習になってしまいそうです。
平成の駆け込み婚や、カウントダウンで挙式なんていうのもあるようです。ちなみに私は、この機会にスマホを買い換えようかなんて考えています。令和フォンなんて出たら飛びついちゃいそうです。それも、元号の力。この際、あやかってしまいましょう。大きな波に乗ってしまう方が楽しいもの。人生で、何度も経験できることではないのですから。
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タイトル写真:坂脇卓也