【ふかわりょう】女は罪?
●ふかわりょうの連載エッセイ「プリズム」26
「作品に罪はない」というフレーズを耳にしていたら、思い出したことがあります。
「モノに罪はない」
これは、一般的には、元カレや元カノからもらったものを、新しいパートナーができてからも使用することの是非を問われた時にしばしば口にするフレーズ。人によって意見の分かれるところですが、あなたはいかがでしょうか。
クリスマスにもらった指輪。誕生日にもらったバッグ。彼と別れたら、それらは捨てますか?使い続けますか?使わずとも、どこかにしまっておきますか?今ならフリマ・アプリに出品もできます。忘れるために捨てるという人もいるでしょう、全く気にしないから捨てずに使うという人もいるでしょう。
女性は上書き、男性は別フォルダ、というように、女性はあまり過去を引きずらないケースが多いようですが、引きずらないから捨てられる、引きずらないから「モノに罪はない」と捨てずにいる。服は捨てられるけど、指輪は……。捨てる捨てないの2択を決める要因は無数にあり、それは、罪か否かとは別次元のようです。
では、男性側はどうでしょう。元カレからもらったものを継続して使用されても構わないものの、それを知ってしまったら多少は気になるかもしれません。どういう姿勢で使っているのか。
思い出を大切にしているのか。全く好きじゃないから使っているのか。それこそ、「モノに罪はない」からか。モノに罪はないけど、これを使っていたら嫌がると思って捨てるという、相手目線に立つ人もいます。
モノではないですが、今は友達関係だからと、元カレと連絡をとったり、普通に食事に行く人もいます。現在の彼に悪いから、元カレとは一切関わらないという人もいるでしょう。
モノに罪があるかどうかではなく、問われるとしたら、それは姿勢かもしれません。
私はというと、「そうなんだ、素敵な指輪だね!元カレ、センスがよかったんだね!」なんて余裕を見せたいところですが、なかなかそこまで寛容になれません。もし使うなら、バレないように使ってくれ、という感じです。モノに罪はないけれど、バレてしまったら罪。隠していたことが罪。いっそ、「今日は、元カレからもらったバッグが売れたから、焼肉でも行こう!」なんてのはアリかもしれません。
罪といえば、「罪な女」と言われたら嫌悪感を抱いてしまうでしょうか。実際、どのような女性を指すのかわかりませんが、決してネガティヴな意味だけではない気がします。男を振り回して、夢中にさせる。そういう意味で、女性はみんな罪なのかもしれません。優しさは罪。美貌は罪。罪な女を受け入れられる共犯者になりたいものです。
タイトル写真:坂脇卓也