自営業(40歳)

起業して富山と東京の二拠点生活「自分のペースで働けば、苦になりません」

自営業(40歳) 子育てをする中で出合った商品を広めたいと、ビジネスをスタートさせたそうです。扱うのは米国の企業が開発した特殊な塗料で、壁に塗るとホワイトボードになるというもの。今では社長として、都内にある本社と家族が住む富山を行き来しながら、ビジネスを拡大している彼女。「仕事が楽しくてしようがない」という思いが伝わってきます。「これが天職だ!」と思えるようになるまでの道のりを、聞かせていただけませんか?」とお願いしました。

ユーザーの意識しかなければ、ビジネスにはつながらない

家の中の壁いっぱいに、お絵かきをしたいという息子のために、塗ると壁などの平面がホワイトボードになる特殊な塗料を個人輸入しました。米国の企業が開発したもので、専用のペンで描き、専用のイレイサーできれいに消えます。当時、2、3歳だった息子は喜び、自分の身体より大きな時計をずっと描いていました。

日本にはなじみの薄い商品を見つけても、ユーザーとしての意識しかなければ、ビジネスにはつながらなかったかもしれませんね。

でも、私は直感で、「これは、面白い」と思いました。塗料はNASA(米航空宇宙局)やGoogle、Appleの本社などでも使われていて、スタッフ同士の意見交換や、相互理解を促すツールとして活用されているそうです。

いい商品だと実感したので知人などに勧め、個人輸入の代行をするうちに、「多くのニーズがある」と気づきました。そこで、2012年に会社を立ち上げ、14年には「アイデアプラス」という社名で法人化しました。個人事業主になったのです。現在は、国内で唯一の正規代理店です。

法人化すると客層が変わり、大手企業からも取引をしていただけるようになりました。15年には都内にショールームとなる「体験ウォール」を開設しています。

個人事業主となって以降、受注は年々増えて17年にはスタート時の8倍以上になりました。ほぼ口コミで売れていきます。ホームページやSNSではPRしていますけれど、広告は出していません。建築業者の方が広めてくださり、「使いたい」と言ってくれるのです。

リーマンショックをきっかけに「何か事業を」

28歳で結婚して仕事を辞めて専業主婦になり、30歳で息子を出産しました。リーマンショックの時に安定した生活を維持していくことへの危機感を抱いたことが「何か事業を始めたい」と思ったきっかけでした。

高校を卒業した後、大阪市内にあるデザインの専門学校に進み、プロダクトデザインを学びました。自転車をデザインする会社で子ども向けの商品を手掛けた後、23歳で故郷の富山市にUターン。求人情報誌の編集者となりました。20代はずっと、ハードワーカーでした。

今でも土日は工事に立ち会うなど、休みが潰れることもしばしばです。でも、誰かに指示されるのではなく自分のペースで働いているので、苦になりません。良い商品だから、売っていて無理をしないで済む。誇りを持ってオススメできますから。

何でも、その道のプロに任せたほうがいい

今は、20代のようなしんどい働き方はしていません。でも、起業してから間もないころに、何でも自分でやろうとして失敗した時期があったんです。

今では施工は塗装業者、配送は運送業者など、任せられる業務はその分野の専門業者へお願いしています。大変だからそうしたのですが、ミスがなくなって効率がよくなり、お客さんに喜んでいただけるようになりました。

何でも、その道のプロに任せたほうがいい。自分のペースで効率よく働くためです。

自分の扱う商品が、人間関係を変えていくことに喜び

大学の寮の食堂の壁にこの塗料を使ったら、学生がさまざまな要望を書き込んで、業務の改善につながったそうです。またIT企業では終日パソコンに向かって仕事をしているので、お互いに何をしているかわからなかったけれど、壁の前で会話が生まれ、「社内の風通しが良くなった」と言われました。

自分の扱っている商品が、人間関係を変えていくことに、喜びを感じます。

私の個性をよく知るデザイン学校の同級生に「私らしい商品」と言われて気がつきました。おそらく、多くの人は「これを扱ってビジネスにしてみたい」とは思わないかも。スルーしてしまうのではないでしょうか。「(商品が)向こうから、(私に)見つけてもらうために目の前にやってきたのかもしれない」と言われ、「天職」という言葉を意識するようになりました。

東京・青海にて

北陸に拠点を置く新聞社でスポーツ、教育・研究・医療などの分野を担当し2012年に退社。現在はフリーランスの記者として雑誌・書籍などに執筆。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。

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