FP fumicoの“Live colorfully”#17 何がポイント?“治療”or“予防”
「治療」なら医療費控除の対象!
自由(自費)診療であっても、「病気予防」「健康維持」「美容」の目的ではなく、「治療」であれば医療費控除の対象となります。出産に関しては、出産自体や、一部の不妊治療は保険診療ではありませんが、医療費控除は受けられます。出産も帝王切開などの場合は、保険診療なのですが、自然分娩はそうではない。おそらく、出産自体は病気や怪我の治療ではないからということなんでしょう。
出産については加入している健康保険によって違う場合もありますが、原則、出産育児一時金として42万円が給付されます。
医療機関までの交通費、経路を忘れずに
電車やバスなどを利用し、通院等で医療機関へ行った場合の往復の交通費も医療費控除の対象になります。
普段、電車やバスを利用する場合は領収書はもらわないでしょうから、申請する際にルートや金額がわからなくなることも。困らないように使用した経路をメモするようにしておきましょう。
また、ICカードで交通費を支払うと、履歴を確認・出力することができるので、通院等の場合に利用するのも“手”です。
タクシー代についてはすべてが医療費控除の対象とはなりませんが、急を要したり、電車などの利用ができなかったりする場合には対象となります。たとえば陣痛のときにタクシーを使う場合は、もちろん対象。そして、使用した場合の領収書は、5年間は保管する必要があるので、気を付けてくださいね。
迷ったら税務署へ相談を!
自由診療では、ご自身が「治療」にあたると思っていても医療費控除の対象とはならないことがあります。
特に歯列矯正など歯科治療には注意が必要。国税庁のサイトでも歯科治療については「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となる医療費に該当します」とあります。逆に言えば、「一般的に支出される水準を著しく超える部分」は医療費控除の対象とならない、ということですので。
整理すると、保険治療の対象だったら医療費控除の対象に必ずなる一方、自由診療の場合は「治療目的」に限られ、高額過ぎたり、特殊だったりする場合は対象とならないということです。
ほかにも日常生活を送るうえで必要な眼鏡とコンタクトも実は対象外。いずれにせよ、ご自身が受けている自由診療が、医療費控除の対象になるかどうか迷ったら、お住まいの地域を管轄している税務署に相談するのがベストです。
“損”をしないようにするべきことは…
医療費控除に限った話ではないですが、税金関係の手続きというのは制度変更が頻繁にあります。医療費控除では2017年より前はすべての領収書を添付して提出する必要がありましたが、その後、簡素化されました。
税金関係は「ややこしい」と思い敬遠しがちですが、時代や要望に合わせて手続きが簡単になるケースも多く、ご自身が利用できるモノも少なからずありますので、一度、確認してみてはいかがでしょうか。
今の時代ならではですが、ネットを中心に様々な情報が出回っています。そして仮に税金関係で不正確なサイトを信じて、誤った申告をしたとしても、不利益を被るのはご自身です。だからこそ、わからなかったり、迷ったりする際には、公的機関などに確認することが重要なのです。
最近の公的機関のサイトは“制度を正確に伝えること”を重視し、わかりにくいモノが依然としてある一方、力を入れている制度に関しては比較的わかりやすく、PDFや動画にまとめていることも多い。可能な限り、官庁や自治体、信頼できる専門家が発信している情報から様々な判断をするようにしてくださいね。
医療費控除に限らず、マネーについては“損”をしないように、情報を取捨選択する目を養っていただきたいです。
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FP fumicoの“Live colorfully”は、2月と3月は第4金曜に公開の予定です。