【輝く女性の未来のかたち＃33】新しいグラフィック表現で 希望や可能性の扉を開く ｜ アートディレクター　田部井 美奈

ミニマルかつスタイリッシュなデザインで注目を集める、アートディレクター＆グラフィックデザイナーの田部井美奈さん。その仕事は、ファッションやアートなどの広告から書籍の装丁、ロゴマーク制作、パッケージデザインまで多岐にわたる。

「10代のころから、街で見かける美しい広告に惹かれていました。やがて広告とは、ややアンダーグラウンドなタイプの映画やアートといったカルチャーと、一般大衆とを結びつける媒体にもなり得るものだと気づき、この仕事に興味をもつように」

円、三角形、直線など、シンプルなグラフィックを用いる自身のスタイルは、誰もが目にしたことのある形状や色だけでカッコいいものを作りたいという美意識から。2018年に開いた個展「光と図形」では、アクリル板や鏡、木片などホームセンターで手に入るような身近な物体を配して光を照射し、物体と光、影、反射によるグラフィックを生み出した。

「光があれば必然的に影が生まれるという、人間の策が及ばない領域を含んだ新しいグラフィック表現を提案しました。自然現象には人工のものにはかなわない尊さ、絶対的な美しさがあると思います」

今後も福祉など、多様な分野で自らを生かしていきたいと抱負を語る。

「広告とは大多数の人の目に触れるものですが、私は常にその中の“誰かひとり”の心に届ける意識でモノをつくることが大切だと考えています。つまり、実は一対一なもの。たったひとりの人でもいいから、私の制作物を見て希望をもてたり、自分の可能性を感じたりと、明るい気持ちを抱けるきっかけになれたら幸せです」

• ●たべいみなさんのプロフィール
  1977年生まれ、埼玉県出身。武蔵野美術大学短期大学部卒業後、輸入カメラ「LOMO」の販売代理店勤務を経て、2003年有限会社服部一成に入社。06年より個人の仕事をスタートし、09年クリエイティブユニット「kvina」に参加。14年に田部井美奈デザイン設立。

※この記事は株式会社ルミネと「AERA」のタイアップ連載「輝く女性の未来のかたち」を再編集したものです

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Text: Kaori Shimura Photograph: Ittetsu Matsuoka Illustration: super-KIKI Design: Satoko Miyakoshi Edit: Sayuri Kobayashi