『結婚してもシェアハウス』の著者、阿部珠恵さん

私がシェアハウスに住んで「結婚しなくていいかも?」と思った理由

「シェアハウスに住んでいたら、結婚しなくてもいいかも?」そんなことをブログに書いたら、大炎上した過去があるという阿部珠恵さん(34)。 著書「結婚してもシェアハウス」では、シェアハウス婚に賛同してくれる夫候補をネットで募り、交際開始から同棲解消までの体験談を綴りました。 そんな彼女は現在、シェアハウスで知り合った男性と結婚し、妊娠中。結婚に興味がなかった彼女に、シェアハウスを始めた経緯や、シェアハウスで苦労したことについて伺いました。
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社会人の一人暮らしは寂しかった

『結婚してもシェアハウス』の著者、阿部珠恵さん

私にとって最初のシェアメイトは、新卒で入社した会社の同僚姉妹でした。
埼玉に住んでいた同僚は、私の一人暮らしの部屋によく泊まりに来ていたのですが、通勤時間短縮のために、妹と都内に引っ越すことに。
一緒に部屋探しをしていた流れで、3人で住むのにちょうどいい部屋が見つかったのがきっかけでした。

その頃は、社会人2年目。一人暮らしは寂しいなと思っていたんですよ。学生時代はみんな近所に住んでいて、眠くなるまで飲んで……という生活だったのに、社会人になると家に帰って話す相手もいない。

同僚姉妹とシェアハウス生活を始めて、その寂しさが解消されました。まったく寂しいと思わなくなったので、「寂しいから彼氏が欲しい」という気持ちにも一切なりませんでした。

そこで「シェアハウス暮らしをしていたら結婚しなくてもいいかも」という記事を書いたんですが、それがYahoo!トピックに転載されて大炎上しました(笑)。

シェアハウス生活で培った「自立」の精神

自宅シェアハウスの屋上に立つ『結婚してもシェアハウス』の著者、阿部珠恵さん

気心が知れた同僚とのシェアハウス住まいでしたが、実は最初の半年間はストレスもありました。私自身、家事に対して細かく几帳面なので、ご飯を食べた後にシンクにお皿が放置されたりしていると、気になってしょうがない。

最初は「言おうかな、でも細かいヤツだと思われるかな」と悩んでいました。そして何度か話し合ううちに、自分の気持ちの伝え方のコツを学んだんです。
ケンカ腰ではなく、フラットに自分の意見を伝えるということ。伝えて相手が納得する時もあるし、自分が想像してなかった相手の都合を話してくれることもあります。そうすると、「どちらが正しいか」ではなく「文化の違い」なんだなと考えられるようになりました。

シェアハウス生活では、自分の思い通りになるのは10のうちの2くらい。残りの8は、おおらかに捉えるようになりましたね。私にとっては、8を同居人に譲歩しても余りあるくらい、シェアハウス生活の恩恵が大きかったんです。
他人に過度に期待するのではなく、自分の意見もフラットに伝えて話し合えるのが、自立した人間なんだなと思うようになりました。

周りの意見を気にせず好きを追求する

自宅で本を手にする『結婚してもシェアハウス』の著者、阿部珠恵さん
30歳前後の頃は生き方に悩みすぎて、同居人とジェーン・スーさんの本を読んで語りまくっていました。

シェアハウスを始めた頃は「本当に大丈夫なの?」「ストレスたまりそう…...」など、ネガティブな反応が多かったです。でも、実際にシェアハウスを開始して、発信し続けていた結果、本を出版でき、取材を受ける機会も得ました。仕事にもいい影響があったと思います。

自分の気持ちにしたがって挑戦したいことを続けてきた結果、気持ちもラクになってきて、「こうあるべき」「これが普通」にこだわる必要ないんだなと思えるようになりました。

やりたいことを周りに反対された時は、「これをやりたい」と話し続けるといいと思います。たくさんの人に伝えれば、中には応援してくれたり、こうすればもっと面白くなると助言してくれる人もいるはず。そうした声をもらうことで、何かが変わるかもしれません。

<次回予告>
後半では、シェアハウスでのシングル生活を満喫していた阿部さんが、結婚・出産を意識するようになったきっかけについて伺いました。→【続きはこちら】

●阿部珠恵さんのプロフィール
1985年生まれ。人材サービス会社に新卒入社し経営企画・広報などの業務に従事したのち、スタートアップの広報部門立ち上げ経て、PR会社でコンサルタントとして働く
社会人2年目からシェアハウス生活を開始。「新しい暮らし方」の可能性を発信し続けている。

著書シェアハウス わたしたちが他人と住む理由」(辰巳出版)
  「結婚してもシェアハウス!」(幻冬舎)。

1983年生まれ。社会人13年で転職4回。バツイチ。恋愛・結婚・女性性・人間関係・生き辛さなどの話題に興味があります。お笑い・現代アート・バームロールが好きです。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。