Ruru Ruriko「ピンク」36

「痴漢されたのは自分が悪い!?」いま、あらためて痴漢問題と向き合う

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は、いまだになくならない痴漢被害について。痴漢被害はかわいいからあってしまうの? 痴漢はよくあるから仕方のないこと? Ruru Rurikoさんが痴漢問題についてあらためて向き合いました。

●Ruru Ruriko「ピンク」36

毎日のようにニュースで聞く痴漢。女子校に通っていた中高時代、

「今日の朝痴漢にあった」「昨日駅で触られた」「盗撮された」

そんなことは毎日のように友達同士で話される話題で当時16、17歳だった私たちは、「痴漢にあって辛かった」よりも「昨日痴漢にあったんだよね〜」と笑いながらまるでネタのようにそのことを話していました。

私は学生時代、痴漢らしい痴漢(性器を直接押し付けられたり、お尻を触られたりなど)に遭ったことがありません。写真を勝手に撮られたり、髪の毛を触られたことはありますが。それでもまだ、ラッキーな方だと思えるぐらい、本当にまわりでは日常茶飯事に被害が起きていました。

かわいくないから痴漢に遭わないと思っていた

実は中高生の頃、「自分はかわいくないから痴漢にあわないんだ」と思っていました。それは恐らく、誰かが被害に遭った時に「○○ちゃんはかわいいからね」というようなコメントをよく聞いていたからだと思います。

ネットがどこにでもあり多くの若者がSNSを使う現代ではSNS上の痴漢、セクハラ行為が出てきました。iPhoneのAirDrop機能を使い、不特定の人に性的な写真などを送りつけるAirDrop痴漢が多発したり、それ以外にもインスタグラムやツイッターなどのSNS個人メッセージに裸の写真やセクハラメッセージを送りつけてくるなどのサイバー痴漢もあります。

このようなSNS上での痴漢行為も、実は女性たちの方が軽くとらえてしまっていることがあり「うわーまたきもいやついるわ」なんて軽く流されてしまうことも多いように感じます。
私も周りの友人から話を聞いた時には「え〜きも〜笑」くらいの反応をしてきました。

しかし実際に自分がそのような写真を送りつけられた時、びっくりするくらいにショックを受けました。ただ、それと同時に、「自分は露出度が高い写真をSNSに上げているから仕方ない」とも思ってしまったのです。

痴漢を受け流していたわたし

今まで私は、ちょっとしたボディタッチや盗撮、セクハラ写真などの軽い痴漢行為(軽いと言いましたがすべての痴漢行為は犯罪です。下着の中に手を入れる、性器を直接当ててくるなどの重度の痴漢行為と差別化を図った表現をしています。)は「仕方ない」と「よくあること」と流してしまっていたと思います。

学生時代、親からよく「短いスカート穿いてたら、痴漢されてもおかしくない」と怒られ意味がわからず反発していました。スカートが短かろうが、メイクをしていようが、どんな服を着ていようが、痴漢する方が悪いし、なぜ私が悪くなるのか、我慢しなければいけないのかと。

でも現実は自分も痴漢という犯罪行為を「よくあるし仕方ない」と真剣に受け止めていなかったと思います。「彼女はかわいいから」「SNSに露出が多い写真を載せているから」そういったことをされるんだ、と流してしまっていたのです。それは私を含め、多くの女の子たちが日常茶飯事に直面する痴漢行為をやり過ごすために、自分たちをそのような言葉で納得させていたのかもしれません。

痴漢にあった時に実際に捕まえたり、声を上げることは勇気がいることです。毎日のように起きるその出来事を、毎回毎回捕まえるというのも大変なことで、被害届を出さない人も多いと思います。(私はSNS上であった場合は即効相手をブロックしています)最近『痴漢レーダー』というアプリができたり、ニュースでも以前より取り上げられるようになり、被害者が声を上げやすくはなりつつあると思います。

それでもやはり、なかなかなくならない痴漢。被害者の服装など関係なく痴漢は犯罪ですし、多くの人が被害に遭っているのが現実です。
SNS上で痴漢行為ができるということは、今やネット上で子どもに近づくこともできます。私の周りの小学生でもiPadやパソコンを使っている子もいて、子どもたちは自分たちで勝手にネットにアクセスしています。
性教育により力を入れることはもちろん、子どもが自ら身を守り、何かあった時に大人に相談できるように、子どものネット環境なども含め考えていかなければいけないのではないでしょうか。
そして私たち大人も、傷つくことは仕方ないことではなく、声を上げてもいいんだと認識していきたいです。

声を上げられない人もいるということを忘れずに。そして、大人も子どもも声を上げた人が非難されたり辛い思いをしないような社会にしていくべく、この問題と向き合いたいと思います。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。

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