「女を容姿と年齢で差別するな!」と主張したら、誰も味方がいなかった話
●編集部コラム
久々に会った友人たち4人(男2人・女2人)と婚活の話題になったので、「最近キャリ婚ってサービスの取材に行ってさ〜」という話をした。
そしたら、その場にいた男友達1が、なんとキャリ婚を使ったことがあると!
彼は、女性が働きに出ることや、男性が家事をすることに寛容そうだもんな。
キャリ婚で結婚できたら幸せになりそうだなぁ。よきよき。
私は嬉しさでワクワクしながら質問した。
「で、どうだった?マッチングした?」
すると、こんな答えが返ってきた。
「マッチングしたのが、40代の太めのおばさんで、結局会わなかったわ」
……ん?あれ?なんかおかしいぞ?と思った瞬間に、なんだか怒りがこみ上げてきて、私の口をついたのはこんなセリフ。
「うっわ!容姿と年齢で女のことを差別するんだ……」
場をざわつかせた私の主張
すると彼は混乱しながら言った。
「え?え?なんか悪いこと言った?なんで?僕には好みを主張する権利もないの?」
私は半ば怒りながら「じゃあ、私がマッチングアプリでオファー来た男性に対して『この人年収低いから無理だわ〜』って話この場でしたら傷つかない?」と反論。
「それは、全然違う話じゃん。てゆか、議論になんない」と彼も譲らない。
そして、その場にいた女友達1が見かねて放ったセリフ。
「まあまあ、いぬいちゃんは最近、そういう媒体で仕事してるからね〜。考え方が染まっているのかも」
え?私「染まってる」の?
既成概念に染まってるのは、そっちじゃん!納得いかない!なんで?なんで?
と思っているところに、男友達2が「まあまあ、いぬいちゃんの言ってることもわかるよ。うんうん」と仲裁に入る。
「だって、女が容姿と年齢で差別されるの見て傷ついたって主張するの間違ってるの?男だって年収で差別されたら嫌じゃない?」と興奮気味に主張する私の言葉を「そうだね、わかるわかる」と聞いてくれる。
私が「ほら!わかってくれてる!」と男友達1に言うと、男友達1は「男友達2はコミュニケーション能力が高いだけじゃん」と。
え?私の主張が理解されたわけじゃなくて、なだめるために話聞いてくれたってこと……?
わあ、私、この場で完全に孤立してるんだ。
極めつけに、付き合いの長い男友達1と女友達1は「ほんと、いぬいちゃん変わったわ。昔だったらそんなに怒らなかったよ絶対」と言った。
確かに私は変わったかもしれないけど、そんな風に言われるのは正直ショックだった。
「議論ができない」悲しさ
そのタイミングで別の友達が輪の中に入ってきて、自然と違う話になった。
話題が変わっても、私はモヤモヤしていた。
孤立したのが悲しかったのだろうか。
いや、違う。
多分、議論できなかったのが悲しかったのだ。
今回、議論が成立しなかったのは、私が思ったことをあまりにもダイレクトに言ってしまったからかもしれない。
宗教の違いとか、政治信条の違いとか、そういう根本からわかり合えない要因を抱えた人同士の不毛な議論が始まる予感が、あの場にはあった。
久々の友人同士の会合が不穏な空気にならないように、みんなが調整してくれたのかもしれない。
でも、やっぱり私はモヤモヤしている。
きっと、傷ついたのだ。
確かに私は感情的になっていて、少し口調は強かったかもしれない。でも、どうして私が感情的になるほど傷ついたのかに興味を持ってくれる人はいなかった。
怒っている私がどうおかしいのかを理路整然と説明してくれる人はいなかった。
「議論になんない」
その一言で、会話が打ち切られてしまったから。
考え方が違う者同士の議論は、本当に難しい。
自分なりの正しさを見つけるために
この世の中に、答えが一つだけ、ということはないだろう。
いろんな視点があり、それぞれの最適解がある。
だから、私はできるだけいろんな人の視点を知りたい。
その上で、自分なりの正しさを見つけたい。
今回は、新しい視点を知るきっかけだったのに、そのチャンスを逃してしまった。
とっさに「差別だ」と強い言葉を使ってしまったのが、今回私の反省すべき点だろう。
もっと柔らかく会話をしないと、多様な視点を知ることはできないんだなと学べて、いい経験になった。
でも、やっぱり、モヤモヤするけど。