“癒やしの島”から旅行再開 一度行くとハマるチェジュ島の奥深い魅力とは?
旅のテーマは“癒やし” 自然をたっぷり感じたい
ソウルに住み始めて3年。でも実は、一度も行ったことがなかったチェジュ島。韓国では人気のリゾート地ですが、日本の友人たちは「ソウルはよく行くけど、チェジュ島は未体験」という人もまだ多く、「いつか日韓の友人と一緒に……」と数年前から「やりたいことリスト」に入っていました。大事にとっておいたチェジュ島旅行に、このタイミングで行くことにしたのは、周りの韓国の友人達の影響でした。おしゃれなカフェ巡りに、大自然ツアー。行くたびに違う楽しみ方をしている友人たちを見て、「小さい島なのに、そんなに何度も楽しめるの?」と驚きながら、私も行きたくてうずうずしていました。
そして、韓国でもまもなく海外旅行再開というこのタイミングで、まずは私が日本の友人たちより一足先に、“韓国旅行”を再開してみることに。久々の旅行で、真っ先に浮かんだテーマは“癒やし”。まだ“密”なところは避けたいし、チェジュ島ならではの場所で、“非日常”を感じたい。調べてみると、海以外にも山、森、川など自然が豊富というチェジュ島で、大自然をたっぷり感じられるスポットを中心に周る2泊3日の“癒やしの旅”に行ってきました。
時間がゆっくり流れる「アンドルオルム 秘密の森」
「朝鮮半島の最南端のリゾート地」ということで、最初は“海”のイメージが強かったチェジュ島で、最近人気の森があると聞いて向かったのが、島の東の松堂里(ソンダンリ)にある「アンドルオルム 秘密の森」。自然を全身で感じられる場所で、癒やしの旅の一日をスタートしようと、朝9時に到着するように出発。大通りから森の入口に進んでいくと、急に深い森の中に迷い込んだような不思議な感覚に襲われます。敷地内は、写真を撮りながらゆっくり歩いてまわると1時間弱ほどの広さ。ここまでのヒノキの森は、ソウルでもなかなか見たことがありません。高くそびえ立つ無数のヒノキに囲まれながら、朝から新鮮な空気と、温かい木漏れ日を全身で感じることができ大満足。自然に囲まれていると、都市に居るときより時間がゆっくり流れるような気がします。
韓国ではこういった場所で、ウェディング撮影をするのが人気ですが、今回、プロのカメラマンと一緒に家族写真を撮影している人たちに遭遇。楽しそうなその様子に、もう2年以上会えていない日本に居る自分の家族を思い出しながら、「やりたいことリスト」がまた一つ追加になったのでした。
自然のパワーをもらったチョンジェヨン瀑布
私が、チェジュ島で必ず行きたかった自然スポットのひとつが滝。滝がある渓谷は、長い時間をかけてつくられた“自然の彫刻”であり、水しぶきを飛ばしながら勢いよく流れる滝には、癒やしと同時に、不思議なパワーをもらえる気がするからです。
今回訪れたのは、西帰浦エリアにある3種類の滝が楽しめるチョンジェヨン瀑布。ひとつ目、ふたつ目と、渓谷までの山道がだんだん険しくなっていきます。久しぶりに自然の中を歩きながら、長引いた在宅勤務で、いつの間にか衰えてしまった体力を実感。それでも、息を切らしながらたどり着いた最後の滝の美しさには、それまでの疲れが吹き飛びました。
深く下ってきた道を、登らねばならない帰り道のほうが大変なはずなのに、体が少し軽い気がしたのは、やはり滝からもらったパワーのお陰だったかもしれません。
季節を感じられるカメリアヒルとセビョルオルムの絶景
チェジュ島の季節ごとの自然を楽しめるのが樹木園。今回のタイミングだからこそ楽しめる自然にも触れたいと、西帰浦エリアにあるカメリアヒルへ行きました。春には桜やゆり、夏にはあじさい、秋冬は野花や椿の花が楽しめる、東洋最大の樹木園なんだそう。今回ちょうど見ごろだったのは、ピンク色の綿菓子のようなピンクミューリー。この時期にしか見られない可愛らしい景色に、あまり写真に写るのが得意ではない私も、少しはしゃいだ気分になり、ミューリーに囲まれた写真を沢山撮影。
大好きな韓国ドラマの影響で、椿の花が好きな私は、「次は冬にもう一度来よう」と心に決めました。
今回の旅行で、絶景を一つ選ぶとしたら、島の西側で南北の真ん中ぐらいに位置するセビョルオルムの夕日。高さ119メートルの小火山の一面に広がるススキと、夕日のコントラストがあまりにも美しく、日が沈み始めてから完全に沈むまでの間、夢中で写真を撮りました。日没なのに一瞬、日の出のように明るい瞬間もあり、刻々と移り変わる自然の表情には、目を奪われました。徒歩で登れる小火山へのプチ登山は、この旅行一番のハードな運動でしたが、「こんな絶景をこれからもたくさん見たい」と、旅の魅力を改めて思い出した瞬間でした。
リゾート気分を味わえるカフェで至福の時間
チェジュ島といえば、可愛らしいカフェも人気のスポット。今回は特にチェジュ島ならではの海が見えるカフェを訪れました。こちらは、島の西側のヒョプチェビーチの目の前にある「ホテルサンド」。2021年にオープンしたばかりで、リゾート気分を味わえると人気のカフェです。
そして、韓国人にも最近人気のスポットである涯月カフェ通り。海を囲んで個性豊かなカフェが立ち並ぶ場所です。今回は、人混みを避けて中心から少し離れた落ちついた雰囲気のカフェ「TeamBlow」を選択。ここでは、旅の疲れを癒やす糖分を補給しながら、本当にまったりとした時間を過ごしました。
チェジュの自然と調和した広大な野外ガーデンが魅力の「スヌーピーガーデン」
さまざまなコンセプトのミュージアムが楽しめるチェジュ島で、今回、私が訪れたのは2020年7月にオープンした「スヌーピーガーデン」。それまでは、あまり興味のなかったキャラクターものに意外と癒やされる年齢になり、“大人も十分に楽しめる”との評判に、実は今回楽しみにしていた場所の一つです。
実際に行ってみて、その“癒やしパワー”は想像以上! 室内展示では、可愛らしいスヌーピーのキャラクターたちと一緒に写真が撮れるスポットが満載で、周りの子どもたちの可愛いポーズを見習いながら、私もパシャリ。
そして、何と言っても、チェジュ島の「スヌーピーガーデン」ならではの魅力が、約2万5千坪の敷地に、11のテーマで作られた野外ガーデン。それだけで一日遊べるテーマパークのような広大なガーデンに、キャラクターの特性とチェジュの自然を融合させた展示は見事で、今回の旅で最高の“癒やしパワー”をもらいました。
“開けた場所に出ると、あなたの人生を違う視点で見ることが出来る”。そんな、人生に関するメッセージも各所に散りばめられていて、どのメッセージが目に留まるかは観る人次第。私にとっては、“癒やし”とともに“気づき”も与えてくれたパワースポットとなりました。短時間では、隅々までは見きれないほどの広さだったので、「ここは絶対に次、連れて行って!」と、私が送った写真に大興奮だった日本の友人たちと一緒に、また訪問するつもりです。
没入型アート「光のバンカー」
韓国に来てから、“アートを気軽に楽しむ”スポットにもハマっている私は、島の東部、城山(ソンサン)エリアにある「光のバンカー」にも立ち寄りました。
真っ暗な部屋の中に入ると、絵画が壁と床全面に映し出され、音楽とともに動いていく様子を人々が座り込んで眺めています。“没入型アート”と呼ばれ、普通の美術鑑賞とは全く違うスタイルで、絵画の中に入り込んだ感覚でアートの世界を深く味わう事ができます。定期的に切り替わる展示は、ゴッホ、モネ、クリムトなど、どれも日本でも人気の画家たち。ここも、来るたびに楽しめる場所の一つです。大自然とはひと味違った“非日常”を味わえた、刺激的なスポットでした。
チェジュ島の食材をチェジュ式の食べ方で味わう
その場所ならではのグルメを味わうのも旅の醍醐味。まず、必ず食べてみたかったのが、チェジュ島ならではの刺身料理。今回訪れた城山エリアの海鮮料理店「ソプジコジロ」では、見た目も豪華な鯖とタクセウ(ミナミアカザエビ)のお刺身をいただきました。タクセウは日本では値段も高く、なかなかお目にかかれない珍しいエビ。
そして、お刺身の食べ方もチェジュ式。特製の甘味噌をつけて、磯の香りがする海苔に巻いて食べる鯖のお刺身は、日本のものとは違う味わいがあり、エビはわさび醤油や甘辛ソースをつけて、ぷりぷりの食感を味わいます。シメは何と言っても、無料で調理してくれる、タクセウの頭を煮込んだ絶品の海鮮ラーメン。エビの頭の濃厚な味噌が出汁となった旨みたっぷりのスープの味は、この旅で一番忘れられない味になりました。
続いて、西帰浦エリアにある「スンチョンミヒャン」の「チェジュ三合」という料理。タコまるごとと、アワビ、黒豚というチェジュを代表するグルメをフルーツソースとモッツァレッラチーズで味付けしたユニークな料理です。平日でも30分以上の待ち時間が必要なほどの人気店で、ほぼすべてのお客さんがこの看板料理を注文していました。韓国料理ならではの辛さはありますが、ここでしか食べられない贅沢な組み合わせです。
チェジュ島の食事で外せないのはやはり“黒豚”。“チェジュ産黒豚”は韓国でも有名なブランド豚肉です。私は、黒豚の熟成肉を食べてみたくてチェジュ国際空港近くの「スクソンド」を訪問。今回は、ソウルでも見かけたことがない、「アップタリ」という豚の前足の部分と、個人的に大好きな「モクサル」という肩ロースの熟成肉を注文しました。珍しい部位に興味津々&早く食べたくて肉をひたすら見つめる私達の前で、店員さんがベストな焼き加減に仕上げてくれます。豊富なトッピングの中から、私は黒豚の旨味を存分に味わうため、柚子入りのわさびを選択。驚いたのが、お肉のトッピングに明太子もあったこと。チェジュ島では他にも、鰯の塩辛で作る特製タレにつけるもの一般的なんだそう。次回は、ぜひその食べ方でも黒豚を味わってみたい!
私も“チェジュ島リピーター”の仲間入り
癒やしのスポットとグルメを満喫し、日常に新しい活力を吹き込んでくれる旅行の素晴らしさを思い出した、3日間のチェジュ島旅行。なんとなく「一度で全部周れてしまう大きさの南の島」と思っていましたが、今回の旅行で、東京都や大阪府と同じくらいという島の広さと、何より、一度では味わいきれない豊富な魅力の一部を体感することができました。韓国の友人たちが繰り返し訪問する理由も納得。日本からは、成田国際空港から直行便で約 2時間30分、関西国際空港から約1時間40分で、アジアの有名リゾート地よりも短時間で行けるのも魅力のひとつです。すでに「次、行きたい場所リスト」も出来上がっていて、私もついに“チェジュ島リピーター”の仲間入り。そして、今から楽しみな次の旅行こそは、日本の友人たちも連れて。
※日本からの渡航者・日本人に対する韓国の入国制限措置及び入国に際しての条件・行動制限措置については、こちら<https://www.jeju.kr.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html>をご確認ください
■チェジュ島の詳しい情報は済州観光公社のTwitterをチェック