『銀座シャンデリア』が銀座4丁目交差点の新たな顔に 込められた想いと遊び心

東京・銀座4丁目交差点の風景が生まれ変わった。今年90周年を迎えた銀座三越の正面玄関上の外壁に、巨大なシャンデリアとアーチを模した『銀座シャンデリア』が設置され、11月21日夕方のライティングセレモニーでクリスマスカラーに彩られた。行き交う人たちの心を温め、希望へと導いてくれる『銀座シャンデリア』を迎えた4丁目交差点は、ニューヨークのタイムズスクエアのように、世界の人々や文化が交わる「東京」を象徴するインスタスポットになりそうだ。

街にとって「希望の光」

突き抜けるような秋晴れの空が薄暮に変わった16時45分、ライティングセレモニーの合図とともにシャンデリアとアーチに光が灯(とも)った。4丁目交差点は、銀座通りと晴海通りの街路樹に取り付けられたイルミネーションも同時に点灯され、光の陰影を感じさせる空間となった。偶然居合わせた行き交う人たちがそれを証明するように、スマートフォンを手にして銀座三越の外壁を見あげ、写真を撮る姿があちこちで見られた。

「きれいだね」

簡単で、ありふれた言葉かもしれないが、人々が『銀座シャンデリア』を一目見て出てくる言葉からは、その響きに温かさを感じさせるものだった。

ライティングセレモニーでは、この場所の重みについて中央区の山本泰人区長がこう語った。

「明治維新以来、4丁目交差点は、人々のにぎわいと色々な人々の絆、交流を生んできた大切な場所です」

しかし、今年に入り、世界中で新型コロナウイルスが流行。日本でも緊急事態宣言により、銀座の街から人の姿が消えた時期があった。だからこそ、銀座通連合会理事長の齋藤充・株式会社銀座千疋屋代表取締役も、この外壁を「希望の光ともいえる」と例えていた。

ランドマークとしての地域の期待の大きさがうかがえる。

銀座三越正面玄関前から見上げた『銀座シャンデリア』。わずか20センチの奥行きを利用してアルミ板の凹凸でシャンデリアを表現している

従業員が導き出した「大人の街×新しい時代の扉」

そんな『銀座シャンデリア』は、どのようにして生まれたのか。少し歴史を振り返ってみよう。

1930年4月10日、三越の「銀座支店」が誕生した。当時は地下1階地上6階建てで、正面玄関の上の壁面は上層階まで窓があり、特別な壁面装飾はなかったようだ。

1958年9月24日、7階の売り場が新設された時には、正面玄関上にバルーン風の壁面装飾で告知していた写真が残っている。

1984年11月13日、リニューアルに伴うグランドオープン。壁面に印象的なビジュアルやキャッチコピーの懸垂幕が降ろされ、その時々の時代を映し出してきた。

90周年を記念して2020年7月に誕生した『銀座シャンデリア』は、高さ22メートル、幅12メートルで、デザインは銀座三越の従業員から公募して決めた。

シャンデリアを提案したのは、加藤康則さんだ。

「銀座の街は、大人の街や世界の一流が集まったりする街をイメージする人が多いと思います。外壁にシャンデリアを描くことで、街の一体感を演出できるようにしました」

シャンデリアを囲むゲートを提案したのは、横田大さんだ。

「新しい時代の扉を開ける――。シャンデリアを囲むアーチ部分はゲートを意味し、新しい出会いが待っている入り口を意味しています」

加えて、向かいにある「和光」の時計塔の鐘の音との調和や経年変化で風格がでてくるように、と考えられた。

銀座三越の『銀座シャンデリア』(右)は、向かいにある「和光」の時計塔の鐘の音との調和も考慮されてデザインされている

アーチに「ライオン」は何頭いるの?

荘厳さを感じさせる『銀座シャンデリア』だが、銀座三越の人たちは遊び心も忘れていない。

アーチの外側の意匠パネルには、銀座を象徴する「柳」がデザインされているほか、三越のシンボルである「ライオン」もデザインされている。ライオンが何頭いるのか、どこにいるのかは明かされず、行き交う人たちに探す楽しみを提供している。

Instagramでは、点灯したシャンデリアを背景に撮影すると1920年代に流行したモダンボーイ(モボ)やモダンガール(モガ)に変身できる「銀座シャンデリア エフェクト」を公開している。スマートフォンで公式アカウント「ginza_mitsukoshi」のエフェクトマークをタップすると、男性か女性を選択でき、変身した姿で動画や写真を撮影できる。

交差点という場所を人と車が交差するだけでなく、足を止めて時を楽しむ空間に変えてくれている。

ライトアップのカラーも時間や季節によって変わっていく。

夕暮れから午後10時は、「ゴールド」。午後10時から午前0時は、「レッド」。特別ライティングは、12月25日まで点灯される「クリスマスカラー」のほか、春バージョンの「さくらカラー」が紹介された。次回以降の特別ライティングは、「レインボーカラー」や「新年正月カラー」を予定している。

左から「ゴールド」、「レッド」、「さくらカラー」のライティング

銀座の街へ幸せが降り注ぐよう想いを込めて

銀座三越の7階には新たにバブリックスペースが設けられ、『銀座シャンデリア』上部の窓から銀座4丁目交差点や晴海通り、銀座通りを普段と違った場所から眺めることができる。

銀座三越の山下卓也店長は、『銀座シャンデリア』にこう期待を込めている。

「現在も、たくさんの方々のお待ち合わせ場所となっている銀座4丁目交差点。『銀座シャンデリア』の輝きが、時代や世代を超えた新たな街の顔のひとつとなり、銀座にお越しなるみなさまや、銀座の街へ幸せが降り注ぐよう想(おも)いを込めて。次の100年も銀座の街に寄り添いながら、ともに発展していきたいと願っております」

『銀座シャンデリア』上部にある7階窓から見た、銀座4丁目交差点

 

 

 

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