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「環境に優しい選択を」根本美緒さんに聞く、プラスチックを見直すためのエコライフ

海洋への流出量が年間約800万トンと推計される「プラスチックごみ」は海を汚染し、世界的な問題になっています。環境意識が高く、上智大学大学院で気候変動をテーマに研究する気象予報士の根本美緒さんにご自身のエコライフについて伺い、ごみを減らすヒントを教えていただきました。

量り売りの店がおしゃれと思われるといい

――買い物にはエコバッグを持参しているそうですが、ほかにはどんな心掛けを?

根本美緒さん(以下、根本): お店ではできるだけレジ袋やプラスチック製のストロー、ふたはもらわないようにしています。ごみを減らすための取り組みとして3R、Reduce(リデュース)、 Reuse(リユース)、 Recycle(リサイクル)が知られていますが、もっとできるRがあるんです。その一つがRefuse(リフューズ)、断るということです。言いづらいんですけど、勇気を持って。スーパーで野菜を買うとレジでビニール袋に入れてくれようとしますよね。それは「いらないです」と断るようにしています。ブドウのパックもお断りして、そのまま自分のエコバッグに入れる。つぶれるのは気にしません。たまにバッグの中で1粒転がっていたりしますけど、そのままいただいています(笑)。

肉は量り売りのお肉屋さんで買っています。そのお店の包装は紙だけなんですよ。紙ごみは出ますけど、食品トレーのようにかさばらないし「この肉がうまいから、こっち買いな」みたいなお肉屋さんとのコミュニケーションも生まれています。ちょっと多めに入れてくれることも。結果、プラごみは減るし、おいしいお肉が食べられて一石二鳥ですね。

うれしそうに語る根本美緒さん

――これなら真似できるし、毎日こつこつ続ければごみを減らせますね。

根本: 今、スーパーなどで、買った直後に店内で食品トレーを捨てて中身の肉や魚をラップにくるんで持ち帰る「くるりポイ」が問題になっていますよね。不衛生な行動になってしまっているのは残念ですが、ごみを持ち帰りたくないという気持ちはゴミを減らす原動力になりますよね。プラごみを減らすには、プラスチックをもらわなくて済む量り売りの店がおしゃれと思われるようになるなど、私たちの周りの環境意識が変わっていくことが大事なのだと思います。

――プラごみに関してなにか家庭で工夫していることはありますか?

根本: 商品を買うとどうしても付いてきてしまうプラスチックがありますよね。わが家では基本、洗ってまた使う、リユースをしています。フォークやスプーンはよく使います。魚の長いトレーは息子がミニカーを並べるのに使ったり、ヨーグルトの容器は娘が楽器にして遊んだり。ゆくゆくはごみになってしまいますが、1日で捨てることに抵抗があって「ごみはごみで終わらせない」という気持ちはありますね。

環境詳しいんでしょと言われ気象予報士に

――海洋プラスチックごみは、2050年には魚の量を上回ると予測されています。東京湾のカタクチイワシの約8割からプラスチックが検出されたという大学の調査結果も出ていて、生態系への影響が懸念されています。

根本: 今後、私たちよりも長く生きる子どもたちがどれくらいプラスチックを摂取することになるのか。それによって、健康を脅かすのかもしれないと考えたら、必然的にプラスチックは減らしたいという気持ちになりますよね。

真剣な表情の根本美緒さん

――海洋プラスチックごみ問題を受けて、東京都では「レジ袋をもらわない」「マイバッグの持参」の推進といったプラスチックごみ削減の取り組みを展開しています。都内の6大学とも連携し、各大学では「自販機のペットボトルをゼロに」「傘のシェアリングサービスの導入」などが行われています。同じ学生として何か思うことは。

根本: 大賛成。もっともっとやってほしいですね。傘のシェアリングは、いいですね。私も予想外に雨にぬれてしまって、傘がほしいなあって思うときがありますけどね(笑)。シェアリングサービスができたら利用してみたいです。

――どうしてそんなに環境に興味を持つようになったのですか?

根本: 大学で環境経済を学ぶようになってからですね。ペットボトルのデポジット制を研究していたのですが、環境問題を動かすには教育が必要だと思うようになり、環境教育の番組をやりたいとこの業界に入りました。天気は全然詳しくなかったんです。アナウンサーになった東北放送の入社式で「天気予報で出てもらうから。環境詳しいんでしょ」って言われまして。それがきっかけで天気について勉強し始めたら気象予報士の資格があると分かり、大変だと思いながらも勉強を続けて資格を取りました。気象予報士になって、気候変動の問題はごみ問題とつながっていることを知り、視野が広がりました。

木漏れ日の中微笑む根本美緒さん

ごみ問題と向き合うために積極的な議論を

――話をエコライフに戻します。ファッションに対するエコ意識は? 何かこだわりはありますか。

根本: とにかく、ものを長く使います。洋服は特に。入社した2001年に買った白のスーツはまだ講演会で使っています。アナウンサーとして白のスーツくらい1着は持っていないと、と奮発して10万円くらい出して買いました。18年前は先輩から「奥さんぽいね」と言われていたんですけど、いまになって重宝しています。かなり元取りました(笑)。さらに別のR、Repair(リペア)をして使っているものもたくさんあります。ワンピースはウエストをちょっと直したり、最近は10年くらい履いて穴の空いたブーツに皮を貼ってもらったりしました。洋服を買うのは年に数回、服を見てときめいた時ですね。長く使えそうないいものを選ぶようになりました。

真っ白な歯を見せてかたる根本美緒さん

うちは結構、お古も多用しています。私には子どもが3人いて、長女は9歳、次女は6歳、長男は3歳です。長女の服はほぼ友だちからもらったもので、それを下の子たちがひたすら着ています。私が子どもの頃、小学3、4年生のときに編んだベストがまだあって、長女が学校に着ていったら、「かわいいね」って言ってもらったと聞いて、ちょっとうれしくなりました。

――海洋プラスチックごみ問題に対し、同世代の女性に伝えたいことはありますか。

根本: お子さんがいらっしゃる方はお子さんと話し合ってほしいです。プラスチックごみの現状や増えてきた経緯、プラスチックをどうすればいいかということを議論する。ただ最近は子どもとの話題が学校の宿題やテストの結果のことが多くなっているので、日ごろ反省しているんですけど(笑)。

見上げる根本美緒さん

――母親の側の気づきにもなりますよね。

根本: ママ友ともよくそういう話をします。例えば「プラスチック以外に食品を包装できるものはないのか?!」と、パックが必要かどうかの議論になったりしました。皆さんには積極的な話し合いをしてほしいって思います。

●根本美緒さんのプロフィール
1979年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学経済学部を卒業し、2001~04年に東北放送のアナウンサーとして活躍。気象予報士の資格を取得し、05年にフリーに転向。09年に結婚し、第一子を出産。その後、夫の転勤のため家族で米シカゴに移住。帰国して現在はTBSの番組『グッとラック!』のお天気コーナーを担当。上智大学大学院地球環境学科で研究中。3児の母。