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ダイバーシティが社会に与える影響を、本気で考えるためのビジネス会議

仕事に対して志を持つ人たちが一堂に会し、学び、お互いを高め合う「国際女性ビジネス会議」(株式会社イー・ウーマン主催)が2019年7月7日、「グランドニッコー東京 台場」で開かれました。1996年から毎年開催され、今年は24回目。ダイバーシティ社会の実現に向けて活動している各界のリーダーによる講演や、多彩なテーマの円卓会議が行われました。10時間にわたる会議には25カ国以上から829人が参加、最後まで熱気にあふれていました。

参加者は高校生から経営者まで。1人で参加する人が過半数

会場はスタート前から高揚感に包まれていました。というのも参加者同士、席上でにこやかに挨拶を交わし、名刺交換をし、ネットワーキングをしているのです。これはほかの会議では、なかなか見られない光景。参加者は10代から70代までと幅広く、制服を着た高校生の姿もありました。男性参加者も1割強いるとのこと。

佐々木かをりさん

会議は午前10時にスタート。今年のテーマは「Scale Up」。イー・ウーマン社長で実行委員長の佐々木かをりさんは、「一般的に女性はスケールアップをしてこなかったと言われます。自らに問いかけて、いま自分がやっていることがスケールアップにつながっているかどうかを1日かけて考えていきましょう」と呼びかけました。

上野千鶴子さん「まずは候補者になることから。女性もどんどん手を挙げよう」

序盤の基調講演では、スロヴェニア共和国外務副大臣のシモナ・レスコヴァルさんや、野村アセットマネジメント株式会社のCEO兼代表取締役社長の中川順子さんなど、女性のリーダーたちが自身のスケールアップについて話しました。印象的だったのは登壇者たちの飾らない語り方。肩肘をはらず本音で話そうという雰囲気に満ちていて、真剣にメモをとっている参加者の姿も多く見られました。

ランチタイムはフルコース料理を堪能しながら歓談してリフレッシュ。講演やトークショーの内容を振り返りつつ、午後に向けて英気を養います。

午後のトークショーには、今年4月の東京大学入学式での祝辞が話題になった社会学者の上野千鶴子さんが登壇しました。#Me Too運動や東京医科大学の不適切入試問題など、女性差別が表面化する世相に呼応するように、テーマは「ジェンダー平等が大切な理由」。

「頑張っても公正に報われない社会が待っている。頑張ったら報われると思えるのは、環境に恵まれていたからだ」という上野さんの祝辞は反響を呼びましたが、この祝辞への反応について「男女の差がたいへん大きかった。いちばん熱い共感をいただいたのは40代の女性でした」と述べました。

上野千鶴子さん

「昨年は大学入試でのゲートコントロールが問題になったが、民間企業の採用にもこういう問題があると思う。企業には応募者の性比と採用者の性比について情報公開をしてもらいたい」と発言。また、「東大生の女性比率が2割を超えないことが長年の問題。東大女子が増えないのは受験生が増えないから。候補者にならないと選ばれることもできない。会社でも、女の人たちには自分からどんどん手を挙げてもらいたい」と、参加者を激励しました。一方で、これまでお茶くみなどの職場での差別に耐え、道を開いてきてくれた先輩たちへ思いを馳せることを忘れないで、と言葉を添えます。

企業の「人間ドック」としてのダイバーシティインデックス

会議後半の円卓会議は、テーマごとに5つの部屋に分かれてそれぞれ議論を深めます。そのうちのひとつが「ESG投資は企業を成長させるのか」というもの。利益主導の経済活動だけではなく、私たち従業員や社会の幸福度についても考えていかなければ、企業の持続性が保てない、というたいへん刺激的な内容です。

ESG投資とは、企業価値をE(環境)、S(ソーシャル)、G(ガバナンス)の指標で評価して行う投資のこと。財務情報だけでなく、環境への配慮や、社内のダイバーシティが達成できているかどうかなどが今後の企業評価の重要な指標になるといいます。

エコノミストの熊谷亮丸さん(株式会社大和総研)は、「お金だけを考えたビジネスは滅びます。持続可能なビジネスのためにはESGの観点は重要。長期的には経済にプラスになる」と話しました。

そのなかで、日本の古い企業体質は変わるのか、という問いに対して佐々木かをりさんは「だめな会社はやめてしまおう」と提案して会場を沸かせました。「私たち女性がみんな、ちゃんとした会社で働くのがいいと思うんです。この会社にいても改革できない、と判断した瞬間にどんどん退職してしまうってのはどうか。そうすれば良い会社だけが生き残るんじゃないでしょうか」。企業を選ぶ選択肢が私たちのなかにある、ということを示唆します。

また企業評価の指標の一例として、佐々木さんが実行委員長を務める「ダイバーシティインデックス」を紹介。「これは企業のダイバーシティをどうやったら目に見える形にできるだろうか、と考えて作ったテスト。社長から従業員までが質問に答え、うわべの数字でなく企業の本質を数値化するもの。人間ドックのように定期的に受けて、改善していってほしい」と説明しました。8社が参加した第1回目(2018年11月~2019年1月末)では、20代の社員は50代よりもダイバーシティへの理解が進んでいるとの結果が出て、年齢差による意識の違いが浮き彫りになったとのこと。企業におけるミレニアル世代の強みの活かし方のヒントが見えました。

また、「20代・30代からのリーダーシップ」と題したセッションでは、ミレニアル世代にも焦点が当てられました。失敗を恐れずチャレンジすることの大切さや、年齢や性別、既成概念にとらわれずに他人の意見をまず受け入れる、インクルージョンの姿勢について議論を深めました。

参加した30代の女性「ほんとに、やめちゃいましょうかね(笑)」

終了後に参加者に感想を聞いてみると、都内の20代の女性は「自社の経営幹部が登壇していて、直接話を聞けてよかった。チャンスがあったらキャリアを諦めないで挑戦したい」と笑顔を見せました。また、女性が多い部署に勤めるという30代の男性は「男女の意識の不一致はどこにあるのかを学びに来た。現状を変えなきゃいけないと思うが、経営者の意識がかなり大きく影響する。それが課題」と話しました。

20代の頃から毎年参加しているという地方公務員の30代女性は、「参加者に年々男性が増えている印象がある」と感慨深い様子。「でも私のいる地方行政の現場はまだまだ年功序列。民間企業のように市場によるフィードバックがないんです。佐々木さんのお話にもあったけれど、もうほんとにやめちゃおうかなって思ったりする(笑)」と、会議で刺激を受けたからこそ、課題をエネルギーに変え、次のアクションにつなげようとしていました。

参加者の皆さんはそれぞれ多くの学びや気づきを得たよう。ダイバーシティをすすめるために、私たち一人ひとりの働き方や会社との関わり方を見直してみることが大切なのだと感じた1日でした。

フリーランスライター。元国語教師。本や人をめぐるあれこれを記事にしています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。