働くミレニアル女子が知っておくべきお金の話が詰まった一冊の本
日本初の女性FPが書いた、働くミレニアル世代向けのマネー本
今年1年間telling,でマネーコラムを担当するうえで、お金についての本を何冊も読みました。その中でも働く女性向けに書かれたこの本は、「telling,女子にも役に立つはず!」と思ったのでご紹介します。
『いま、働く女子がやっておくべきお金のこと』(青春出版社)。2016年12月に出版された本です。著者は中村芳子さん。以前、一度お会いしたことがあるのですが、とっても明るくてパワフルな人だなという印象でした。
中村さんは日本の女性FP(ファイナンシャルプランナー)第1号。その一方で『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房)、『女性が30代で必ずやっておくべきお金のこと』(PHP研究所)など、ミレニアル世代に響きそうな本をたくさん執筆しています。
中でも「働く20代、30代の女性」に向けてピンポイントで必要な情報が詰まっているのがこの本の特徴です。「自分らしい働き方って?」「これから先、何歳まで働いたらいいの?」「もしも、離婚して一人で生きていくことになったら?」。著者である中村さんはこれらの悩みに対して具体的な事例やアドバイスを交えながら、本の中で一つ一つ丁寧に解説してくれています。
「結婚したら、この先の人生安泰!」とは限らない
本の冒頭で中村さんはこんな風に書いています。
〈幼い頃は、疑いもなく、こう思い描いていた。 大人になったら結婚して、子どもが生まれて、家族を持つ。家族なかよく暮らし、子どもたちが成長して、家を出ていく。夫婦ふたりで暮らして、孫たちの訪問を楽しみに待つ。でも、成長するにつれ、人生はそんなにシンプルじゃないことに気づいてくる〉
その通り!と、いきなり共感してしまいました。
若いころは「結婚したら一生安泰」と思っている人もいるかもしれないけど、離婚したり、旦那さんが病気になって働けなくなったり、最悪死別することもすることもありえます。「結婚=生涯保証が続く」わけではないのです。
結婚するかしないかわからないし、したとしても離婚するかもしれない。将来は親の介護問題だって出てくるかもしれない。これから先自分がどんな人生を歩んでいくかわからないことが、不安の原因になります。
中村さんによれば、ここで大事なことは、この先結婚するかどうかどうかにかかわらず、「この先、ひとりで生きていくとしたら?」ということを想定してライフプランを考えること。
収入はどのくらいあったらいいのか、そのためにはどんな仕事について必要な資格はなにか。万が一の病気や老後の資金はどのくらい貯めておいたらいいのか考えておくと、自分一人でも生きていけるという自信が生まれ、安心して生活できるようになるのです。
離婚しても幸せに子育てするために考えておきたいお金のこと
さらに、この本の内容の中で私が特に気になったのが、「離婚してシングルになった場合に備えるべきこと」についてです。万が一、離婚してシングルマザーになったら、一番の心配はやっぱり収入のことです。
「私、稼げますから!」といって、自分一人で年収1000万円くらい稼げればいいけど、そういう人はごくわずか。下手したらアルバイトを掛け持ちしても年収200万円いかないうえに、働き過ぎて体を壊してしまうことも……。
そうならないためには、結婚しても妊娠しても仕事を辞めない、「働き続ける」ことがとっても重要だと中村さんは書いています。最初から離婚を想定して結婚するわけではないけど、専業主婦を目指すよりも、夫婦共働きでやっていける旦那さんを探したほうがよさそうですね。
もし、今まさに「離婚して日々の生活費を稼ぐので精一杯」という状態だったら、職業訓練を受けたり、資格を取ったりして正社員の仕事、もしくはフルタイムで働ける仕事を見つけることで、状況は改善します。無理して仕事をいくつも掛け持ちしていると体を壊すことにもつながるので、ここは十分注意が必要です。
さらに、児童扶養手当やひとり親家庭等医療費助成制度、母子家庭・父子家庭の住宅手当など、国や地方自治体の制度を調べて、もらえるものはちゃんと受け取る。これらの制度は自分で申請しないともらえないことがあるので、注意してくださいね。
ほかにも、本書の中では、離婚による経済的ダメージを最小限にする方法や、友人間のネットワークの作り方なども、具体的に紹介されています。シングルマザーというと、暗いイメージを持つ人もいるかもしれないけど、ひとりで子どもを養っていけたら、それはすごく自分の自信になるし、この先もたくましく生きられるんじゃないかと思います。
この1冊で、女性の一生にかかるお金のことについて詳しく書かれているので、読むことで知識がつき、お金の不安がかなり軽減されます。この先の生き方で悩むことがあったら、一度手に取って読んでみることをおすすめします。