セクハラ成仏座談会 01

結婚して退社する部下に「ちゃんと女性の幸せをつかんだね」って、セクハラ?

「男女平等」、「女性の活躍」って世間は言うけれど、現実はどうでしょうか。telling,世代の女子たちは日々、上司や同僚によるゲスすぎるセクハラ発言や、グレーゾーンだけどモヤモヤする「セクハラ予備軍」に悩まされています。そんな有象無象の「セクハラ的な何か」を集め、編集部員の座談会によって”成仏”させようという「セクハラ成仏座談会」。第1回は、結婚を機に退社する女子社員への上司の言葉について討論します。 〈座談会の顔ぶれ〉 ・成仏させる子(29): この企画の発案者。セクハラの横行する老舗企業で20代を過ごし、転職後、自らの「セクハラセンサー」が麻痺していたことに気づく ・猪突猛子(30):フェミニズムに興味を持つ突進系記者 ・データ信奉子(34): データに基づく冷静な分析を得意とする理論派 ・肩身狭男(37):ほぼ女性ばかりの編集部で肩身の狭い男性編集者

●本日のお題

私が以前、勤めていた会社でのお話です。同僚の26歳の女の子が結婚を機に退社することになったのですが、最後の出勤日、その子の40代の上司が寄せ書きに「ちゃんと女性としての幸せをつかんだことをうれしく思います」と書き込んでいました。受け取ったその子は何もリアクションしなかったけど、私や周囲の女性たちは「ちゃんと」「女性としての幸せ」って何だよ!と、陰では怒り心頭。これって、セクハラだと思いますか?

このお題について、セクハラの横行する老舗企業出身で長らく麻痺していた「セクハラセンサー」を起動させ、浮世にさまようセクハラ事例(セクハラ地縛霊)を成仏させるべく立ち上がった成仏させる子。フェミニズムに傾倒する突進系記者・猪突猛子 、データ分析が得意なデータ信奉子、黒一点の男性編集者・肩身狭男とともに臨みます。

   *   *   *   

成仏させる子(以下、成仏): 今回は初回だから、私の実体験からスタートしてみたいと思います。

猪突猛子(以下、猪突): はい、早速アウト、アウト……と思ったら、これ成仏ちゃんの実体験ですか。

成仏: そうです。私はこの上司のことはよく知っていたから、「はいはい、いつものことね」と流していたけど、2コ下の後輩から「あの言葉、どう思います!?」と怒り心頭のメールが送られてきて、ああ、これはヤバいんだと初めて認識しました。データちゃんは、これがセクハラだと思いますか?

データ信奉子(以下、データ): どうかな。まずは、上司に悪気はあったのかを考えてみたいかも。男性の肩身さん、どう思いますか?

肩身狭男(以下、肩身): 悪気はなかったんじゃないかなあ? そもそも「寿退社」っていう言葉があるじゃないですか。あれがもう、この書き込みのニュアンスそのものですよね。「女性は結婚して退社するのが幸せ」っていう。女性がご飯を炊いて……みたいに思ってる人は世の中、まだまだ多いですよ。

成仏: ご飯を炊くのは女性じゃなくて炊飯器じゃ! 初めちょろちょろ中ぱっぱ、なんて今時やってないでしょ!。

肩身: 成仏ちゃん? キャラ変わってますけど……。

猪突:  私はもう、「寿退社」っていう言葉自体がもう今の時代、アウトだと思いますよ。

無自覚なセクハラ発言、注意すべきか否か?

データ: 成仏さん、その上司は普段からそういう発言が多かったんですか?

成仏: そうなんです。彼はめちゃくちゃステレオタイプが強い人で、女性は早く結婚して会社をやめたほうがいいと心から思っている。だから、本気で祝福しているつもりなんだと思います。でも、送られた女性はどういう思いで退社するか分からないのに、勝手にステレオタイプにはめられてしまっている。

猪突: これは、言われた相手次第かも。専業主婦願望が強い人だったら、すんなり受け止められるかもしれない。でも「女性としての幸せ」とひとくくりにされると、かなり違和感がありますね。

データ: 私はむしろ、周りの同僚女性たちへのセクハラだと思いますよ。結婚して退社する女性以外は「ちゃんとしてない」と言われているみたいなものだし。

セクハラにも色々あるけど、この上司は無自覚なだけのタイプだと思う。善意のつもりの言葉が人を傷つけているのに、誰もそれを教えてくれず、気づかずに来てしまった。悪意を持ってセクハラ発言をぶつけてくる人よりはマシかもしれないけど、悪いものは悪い。

セクハラおじさんを「窓際」へ送る

猪突: こういう場合、指摘してあげたほうがいいのかな。男性の意見、どうですか?

肩身: 指摘されたらその場は屈辱かもしれないけど、その後、陰でずっと言われるくらいだったら指摘してもらいたいかも。でも、実際この場にいたら、祝福ムードを台無しにするような発言はなかなかできないのでは?

成仏: 確かにそうだけど、空気をつくることはできると思う。同調して笑うんじゃなくて、冷ややかにパスタとか食べて無視して、しらーっとした空気をつくる。

猪突: それで伝わるかな? 頭の固い「オジサン」を変えるのは難しいですよ。

成仏:  会話がかみ合ってないってことはわかるじゃないですか。あとは、社内で常にそういう空気をつくっていくことで、「あの人は部下に信頼されていない」となって、セクハラする人を出世から淘汰させていく。代わりにものの分かる人をどんどん押し上げて、働きやすい環境をつくっていけばいい。窓際に追いやろうぜ。全員、新幹線のA列にしてやるぜ!

猪突: “A列”はセクハラおじさんばかりに!

データ:  私は、傷を傷で返すやり方は好きじゃないなあ。ちゃんとその場で反論して、正攻法で戦ったほうがいい気がする。

猪突: その方が、上司に対して愛があるよね。成仏ちゃんのやり方は、政治力高め(笑い)。でも、正攻法で戦わなくても、時代がさらに進めばこういう発言は絶対アウトになると思うな。LGBTに対する見方も、私たちが子どものころと比べてだいぶ変わってきたじゃないですか。それまでは女性たちで問題を共有して、上司の陰口を言っていれば……。

データ:  戦わないで待つ、ということ? 戦わないと時代は前に進まないですよ。

成仏: でもね。「女ってすぐ陰口言うよな」とか男性から言われることはあるけど、陰じゃなく「表口」で言ったら潰してくるんだろ、とも思いますよ。

猪突:  無自覚なセクハラは、注意して止めさせたほうがいい。でも、相手が権力者で、注意を受け入れる態度も持っていなくて自分が逆襲される恐れがあるなら、成仏ちゃんが言う「窓際作戦」のような、もっとクレバーな手段を考えないといけない場合もあるかもね。とりあえず、そんな上司の陰口は永遠にやめない!

【成仏させる子のつぶやき】

世の中の「セクハラ」や「セクハラ予備軍」の体験談を共有することで問題を考えるきっかけになればとやってみた座談会ですが、「こうすれば良かった」という答えを出すのは本当に難しいと感じました。でも、今回の例のような無自覚な「セクハラ」発言、世の中にはまだまだあふれていそうです。正面から注意するにしろ、じわじわと冷ややかな空気をつくっていくにしろ、受けた側や周囲が感じた違和感を「なかったこと」にしないことで、ほんのちょっとずつでも社会の空気を変える一歩になるのではないかと感じました。

  • ●あなたのセクハラ体験募集
    telling,編集部では、あなたがこれまでの人生で受けたセクハラや、はっきり断言できないけれど「これってセクハラでは?」と感じた体験談を募集します。telling,編集部員が座談会を通してあなたのモヤモヤを共有し、どんな対処法があったのか、どうすれば同じようなことが起きない世の中になるのかを考えます。
    体験談はこちらまで
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