花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか。02

花屋さんに聞く、おすすめのお花 ―ギリア “トリコロール”-

そこにあるだけで、癒しをくれる花。贈りものとしての役割が大きくて、ついつい“特別なもの”と思ってしまいがちですが、たった一輪、暮らしの中に飾るだけでいつもの空間がやさしくなる気がします。花のある“ちょっと幸せ”な日々。そんなフラワーライフをお助けしてくれるステキな花屋さんをお訪ねして、おすすめの花をお聞きしていくコーナーです!

●花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか。02

 そこにあるだけで、癒しをくれる花。贈りものとしての役割が大きくてついつい“特別なもの”と思ってしまいがちですが、たった一輪、暮らしのなかに飾るだけでいつもの空間がやさしくなる気がします。器もコスメの空き瓶やお気に入りのマグカップなんてラフなものでもまったく問題なし。

 ゆるやかに変化する色合い、やわらかな茎のライン、光に透ける葉脈や花びらのしなやかさ、ほのかに漂う香り。そうした魅力はただのモノにはない、花が生きている植物だからこその魅力です。仕事帰りに花屋さんに寄って、花を選んで、一緒に家路に着くところから心弾むひとときがはじまります。

 花のある“ちょっと幸せ”な日々。そんなフラワーライフをお助けしてくれるステキ花屋さんをお訪ねして、今日のおすすめの花をお伺いしていくコーナーです!

大都会のツタ・ハウス

 東京・新宿。モノも人もあふれ返っている日本きっての繁華街、新宿に。緑のツタに覆われた花屋さんがあるのをご存知ですか?

 この写真の左側に写っている一戸建て。もじゃもじゃツタに覆われたそここそが今回お訪ねした「ハナミドリ」さん。新宿にありながらこの佇まい。場所は都営地下鉄「西新宿五丁目」駅を出て、少し入ったところです。

 近づいてみると、もっとモジャモジャ! はぁ〜、この外観だけでウキウキ気分。

 かわいい看板。真ん中に鎮座するツタ・ハウスくん(勝手にそう呼んでいます)のユルかわいさがたまりません。

 ときは4月上旬。店のなかは春から初夏の花でいっぱいでした。

 やわらかな色合いの、やさしい雰囲気の花たち。ふわふわっとした姿にトキメキます。

 こちらはなんと、パクチーの花! ちらちらとした小さな星みたいな花びらと、線香花火みたいな葉っぱに心鷲づかみにされました。もちろん香りもきちんとパクチー!! 茎を切るとエスニックな香りが漂ってきました。

 初夏の花木ライラックは床にディスプレー。

 カラフルな花のコーナーもあり。この下には…

 ハナミドリの看板犬・ベリーちゃんが。

 花に埋もれてちょこんといる様子がかわいくてかわいくて!! 彼女を怖がらせたくないのであまり近づかないようにと思うものの、やっぱり一瞬顔を見たくなってしまうのでありました。ベリーちゃん、驚かせてごめんね。

 ベリーちゃんはいろいろあって行き場をなくした子だったのですが、ハナミドリの店主、上田さんが引き取ってファミリーの一員になりました。ベリーちゃんを見るたびに上田さんのやさしさを感じます。

上田さんに会いたいから

 ここ「ハナミドリ」の店主である上田翠さんは、とっても朗らかな女性。美大を卒業後、紆余曲折を経て冠婚葬祭店、小売りすべてを展開する花店の葬儀部門に勤務。そのときにいまのツタ・ハウスをネット上の物件サイトで発見し一目惚れ! 独立しようとかはとくに考えていなかったそうですが、この物件でなにかしたいと花屋さんをはじめることになったそうです。この勢いと行動力! かっこいいです。憧れます。 

写真の右側が上田さん。左側は花仕事のパートナーである細沼浩さん。東南アジア感漂うハナミドリの屋外テラスにて

 細沼さんも東京の西荻窪に「枝屋」という自分の店を持たれていますが、数年前、これまた上田さんが物件サイトで発見した一目惚れ物件をきっかけに「ハナと枝」というユニットを結成。埼玉県和光市にあるその一目惚れ物件でイベントを行なったり、大きな仕事があるときはともに力を合わせて取り組んでいます。

 もともと、花市場で出会う仲間だったのですが、花や仕事に対する姿勢で意気投合したそう。このお二人のゆるやか〜な空気感がとっても心地いいんですよね。

 ハナミドリの花は、そんな上田さんたちの持つ大らかな雰囲気が表れているような気がします。そもそも花を買いに行くというのが目的ではあるんですが、個人的には上田さんに会いに、上田さんが選んだ花がほしくて行く、みたいな感じです。きっとそういうお客さん多いんじゃないかと思います。

 さてさて、上田さん、細沼さん、今日のおすすめの花はどれですか?

今日のおすすめは「ギリア“トリコロール”」!

 淡い紫がにじんだような五枚の花びらに、中央は濃い紫と黄色のバイカラー。そこにふんわり浮かぶライトブルーの花芯がたまらなく魅力的な花、ギリア“トリコロール”が、上田さんと細沼さんの今日のおすすめです。

 見れば見るほど美しい。

 ワサッとした草姿もいい感じ。

 このギリア“トリコロール”は4月から5月ごろにかけて、花屋さんで出会える花。原産地はアメリカで、別名を「バーズアイ」(鳥の目)。中心のあたりが鳥の目っぽいから? つぼみがたくさんついていて、飾っていると次々咲いてくれるのも楽しみのひとつ。

 オススメの飾り方は「線が細いので1本でも、たくさんでも!」と上田さん。今回は同じくふんわりとした出で立ちのパクチーの花と合わせて飾ってくれました。可憐さが増してステキさ倍増です!

 こんなところに飾っても映えます。

 帰り際、ささっと包んで飾った花を持たせてくださいました。

 ショップカードの中には花の名前が。花の名前ってすごく気になるので、こうして書いてくれるとうれしい!

 なんでも取材当日は撮影が3件!も入っていたそうで、そんなお忙しいときに快くお時間頂戴し本当にありがとうございました!!

 ということで、今回は「ハナミドリ」の上田翠さんたちに、初夏の花「ギリア“トリコロール”」をおすすめしてもらいました。

 次はどんなお花屋さんで、どんな花に出会えるか。「今日はどのお花がおすすめですか」を聞きに、これからも花屋さんを訪ね歩きます!

編集者。台湾に心奪われ隙あらば旅に、あげく勤めていた出版社を辞めて台北に語学留学。台湾や植物関連の書籍制作に携わる。ラブ台湾、ラブ植物!