【イラストで見る】「産む」選択、「産まない」選択 小説『燕は戻ってこない』から考える
手取り14万円、高い果物もスタバのドリンクも買えない……。その画面には、20代半ばのころの私がいた。小説『燕は戻ってこない』(桐野夏生/集英社)および同名の実写ドラマは、社会問題である代理出産と女性の貧困に焦点をあてた作品だ。主人公はワーキングプアの女性リキ。子に恵まれない裕福な夫婦の代理母となる。物語が進むにつれて、リキは「まるで以前の私だ」と気づいた。それは「貧困に苦しむ自分も、高額の謝礼を前にしたら、自分もリキのように代理母になったのか」という問いにつながっていく。生殖に関する権利は自分の意志で決めて尊重されるという「リプロダクティブ・ライツ」の観点から、「燕」とは何なのか、私なりに考えてみたい。(文:若林理央)
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