Ruru Ruriko ピンク 53

小学生の女の子に“モテるテクニック”は必要?

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は、SNSで話題になった小学生女子向け雑誌に掲載されていたモテテクニックについて。Rurikoさんも中高生の頃は大好きなファッション雑誌の編集者を夢みていたけれど、実は雑誌から教えられていたことが自分を縛りつけていたことに気づいたのだとか。私たちや子どもたちに必要な情報とは?

●Ruru Ruriko ピンク 53

大好きなファッション誌から教えられたこと

最近目にした小学生女子向けの雑誌にダイエットやモテるテクニックといった内容が出ている、という話題。

小学生で既にこんなものを読んでいるのかと思うと同時に、私が小学生の時にも既に似たようなものはあった気がするし、中学生の時には100%あったなと思い出しました。

中学生の時には、私も同級生もみんな携帯電話を持っていましたが、私の携帯はネットにアクセス制限が掛けられていたし、今ほど情報に溢れてはおらず、雑誌は私にファッションやメイク、憧れの素敵な女の子たちや、海外についての情報などを毎月たくさん教えてくれる数少ない頼れるものでした。ファッション誌が大好きで、発売日を楽しみに毎月何冊も買っていましたし、中高生の頃の将来の夢は、雑誌の編集者でした。

しかし、大学生になりフェミニズムと出会ってから、ルッキズムや女性として生きることなどを考え、勉強し始めた時に、私の大好きだったファッション誌たちから教えられたことの多くが、私自身を縛りつけてしまっていたことに気づいたのです。

以前、ルッキズムやボディイメージの記事で書いた通り、自分の容姿に自信がなかった私は雑誌に出てくモデルさんの体型に憧れていたし、出てくるダイエットは片っ端から試しました。

ルッキズムから抜け出したい
本当は怖い、「食べる」と「罪悪感」の関係

恋愛にはあまり興味がなかったのと、女子校で異性との恋愛は大人になったらあるだろうとぼんやり遠いものと感じていたので、モテテクニック!のような記事から影響を受けることはあまりありませんでした。でも、もし日本の大学に進学していたら(高校卒業後は渡英)参考にしていたかもしれません。

ティーン雑誌にでてくる「〜キロ以上はぽっちゃり」「○○はダサい」「XXするべき」などといった見出しを、当時は雑誌に出てくる素敵な女の子たちに言われていると思い、信じていましたが、大人になってからそれらは彼女たちではなく、全く知らないどこかの大人が言っているのだと気付いた時はとてもショックでした。

世の中に溢れている記事、一定の基準を押しつけてない?

残念ながら、大人向けにも「男性から好かれる女性の特徴」「○○したら女性として見られない」「XXへ行くときは○○メイクがいい」などの記事はインターネットに溢れていますし、それらに影響を受ける人も少なくないと思います。私も自分に自信がなくなった時や不安な時はそういった記事を読んだこともあります。

そのような記事は私たちに一定の基準を押しつけ、個性を失わせるだけでなく、「ルッキズム(外見至上主義)」や「恋愛至上主義」「異性間恋愛のみが恋愛」が当たり前であるように信じさせます。

大人の私たちでもそれらの記事に影響を受けるのですから、子どもへの影響は更に大きでしょう。どうしたら小学生の女の子に男の子からモテるには相手に話を合わせてほめるなんてことが言えるのでしょう……。きっとそれは私たち大人がずっと言われ続け、当たり前のように女の子はこうあるべきと信じてしまったからでしょうか。

もっと女の子たちをエンパワメントする記事を

子どもたちが読んでいる雑誌や漫画、本には子ども向けとして普通に販売されているものでも内容は子どもが読むものではないようなものはたくさんあります。私が中学生の時に流行っていた漫画には、中高生が主人公の物語に過激なダイエットや年上男性との不倫などが平気で出ていましたし(そしてそれらがかっこいいことのように描かれていた)、話題になった雑誌も内容はチェックせずに買い与えていた親御さんも多いのではないでしょうか。

私は今も紙媒体が好きです。ファッションは私に自信をつけてくれたし、当時読んでいた雑誌は私にいろいろなことを教えてくれたのも事実です。しかし小学生の女の子に「男の子からモテる=自分に価値がある」と思わせてしまうような構造や恋愛や人間関係にマニュアルを押し付けるのは、非常に害悪ですし、今すぐにそういった記事はやめてほしいです。

雑誌が大好きだったからこそ、話題になったような記事はなくなってほしいし、女の子たちをエンパワメントするような現代にあった内容が増えていってほしいと思います。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。