telling Diary ―私たちの心の中。

いつも好き、なんて難しい。―telling, Diary

telling,世代のライター、クリエイターたちが綴る、日のできごとから感じたことや、心の隅にずっと持ってた小さな本音・・・。「telling, Diary」として、“あなただけに、言うね”。今回は、エディター&ライターの鈴木梢さんのダイアリーです。

●telling, Diary ―私たちの心の中。

いつも好き、なんて難しい。

 たとえば、的確にアドバイスをくれる友達がいるとする。

 たとえば、いつでも明るく盛りあげてくれる友達がいるとする。

 たとえば、笑顔で癒してくれる友達がいるとする。

  そんな人たちと楽しく話す、やる気が出たり、元気になったりすると思う。でも、必ずしもそういうときばっかりではない。なんとなくすっきりしない天気の日。人の意見なんて聞きたくないとき。逆に、しっかりアドバイスがほしいとき。誰にも会う元気がないとき。人の明るさがつらいとき……。

  人にはいろんなときがある。自分の気持ちと、相手の気持ちがバッチリ会って、お互いに「あー、楽しかった」で終われる日ばかりじゃない。でも、「嫌いなわけじゃないのに、好きなのに、今は会いたくないなんて……」と、好きな相手に会わない選択をうまくできない人もいると思う。

  断ったら嫌われちゃうんじゃないか、むしろ、私が相手のことを嫌いになったとでも思われてしまって、傷つけてしまうんじゃないか……。いろいろ考えてしまって、自分の気持ちに嘘をついて会ってしまうこともあると思う。「会いたかった」なんて言って。でもそれが嘘じゃないのも、わかる。

  でも、会わない選択をするだけで「この人は私が嫌いなんだ」とか「会ってくれないなら嫌い」なんて思うような相手とじゃ、友情だって愛情だって長く心地よく続かない。「そういうときもあるよね」とお互いに思える関係、もしくはちゃんと理由を言い合えるくらいの関係じゃないと、どんなに趣味や話が合ったとしても、関係性としてはなかなかしんどい。

 どんなに相手のことが好きだって、嫌いになったわけじゃなくても、会いたくなくなるときはある。だからといって相手の気持ちを尊重しすぎて、何も言えない関係も難しい。

「今日ごはん行こうよ」

「うーん予定はないんだけど、あんまり元気がないからまた今度ね」

「そっかそっか、ゆっくり休んで!」

 くらいに言い合える関係だけ大切にすればいいんじゃないか。

  だって、どんなに好物の食べものだって、毎日毎食は大抵厳しいし(大丈夫な人もいるけど)、どんなに好きな趣味だって仕事だって、やりすぎたら疲れちゃう。

 だから人だって同じで、ずっと一緒にいたらしんどくなるのは当然。

 それは自分だって、相手だって、誰も悪くないんだ。

1989年、千葉県市川市生まれ。新卒でスマホアプリやSNSを活用する企画職として働いたのち、2013年夏頃からフリーライターとして活動。現在は、株式会社プレスラボに編集者/ライターとして所属。
東京生まれ東京育ち。羊毛フェルトを使ったイラスト、愛猫ゾロとダルタニヤンをモチーフとしたぞろだるシリーズなどに明け暮れる。oekaki creatorである。
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