ドラマレビュー

【2020年冬ドラマ「第1話」考察】女帝・天海祐希「トップナイフ」超胸キュン・佐藤健「恋つづ」が凄い!「絶対零度」「コタキ兄弟」「シロクロ」……観るべきドラマはどれなんだ、全部観て考えた

人気ライターが放送されたばかりのドラマを徹底解説。ドラマが支持される理由や人気の裏側を考察し、紹介してくれます。今回は、2020年冬ドラマ「第1話」を徹底考察!今期観るべきドラマはこれ!

2020年1月、冬ドラマがつぎつぎとスタートした。
すべてを観て「どのドラマがおもしろいのか」「どのドラマを観るべきか」をチェックしていく。
これを書いている時点(1月15日)で、スタートした冬ドラマ(地上波)はおよそ13作品。
第1話を観て、ドラマを月曜日から日曜日まで順番に紹介していこう。

 

佐藤健よ、どんだけキュンキュンさせるのか「恋は続くよどこまでも」

「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」

フジテレビ系、月曜よる9時。1月6日スタート。
あらゆるビッグデータから予測された犯罪を未然に阻止する「未然犯罪捜査班」(通称・ミハン)を描くシリーズ。
キレッキレなアクションシーンが見事。本田翼が、脱いだハイヒールを武器にして、しまいにはヒールを口につっこんで吊るし上げる、なんてアクションが繰り広げられる。キャラクターの個性、アクション、設定が絶妙。
今シーズンは、暴走して人を殺してしまいそうな井沢範人(沢村一樹)と、彼が暴走したときにそれを止める銃を所持している山内徹(横山裕)の強い絆も見どころ。
シリーズものの前提を、説明ではなく状況から分かるようにする工夫もシャープだ。いままで観てなくても、ついていけると思うので、アクション好きは必見。

 

「SEDAI WARS」

TBS系、火曜深夜1時28分。1月7日スタート。
日本の大統領を決めるために、各世代の代表者がVR空間で対決するドラマ。
主演は「なつぞら」で小畑雪次郎を演じた山田裕貴。さとり世代の弱々しいキャラクターを演じる。むちゃな設定を照れることなく説明セリフで突き進むザッツ深夜の馬鹿ドラマ。
第1話は、対決するためのお膳立て回で、いよいよ第2話から世代バトルに突入。
前話を観てないと分からないタイプのドラマではないので、深夜、何も考えず、酔っ払いながらライトに観るのがいいかもしれない。

 

「10の秘密」

フジテレビ系、火曜よる9時。1月14日スタート。
主人公は、向井理が演じるシングルファーザー。娘が誘拐され「命がおしければ、元妻を探せ」という脅迫電話がかかってくる。
元妻のセレブ生活がすべて偽物で借金だらけだと判り、10年前にただならぬ秘密を抱えていることが暗示される。
第1話は、なつかしの推理アドベンチャーゲームのような展開だった。

 

「恋は続くよどこまでも」

TBS系、火曜日よる10時。1月14日スタート。
まあ、どんだけキュンキュンさせるのか。超胸キュンドラマ。患者には優しいが、仕事仲間にはクールで厳しい医者の天堂浬(あだなは魔王)を演じるのは佐藤健。ドSなセリフも、優しい笑顔もばっちり。
医師天堂に憧れて看護師になり、初日に「好き」と告白する佐倉七瀬(あだなは勇者)を演じるのは上白石萌音。恋と仕事に懸命に喰らいついていくまっすぐさが、まぶしい。
初々しい上白石萌音も、超美形のドクター佐藤健も、はまり役。良質な少女漫画のもつ胸キュン要素が凝縮したドラマだ。胸キュンしたいひとは必見。

 

吉高由里子の父がキアヌ・リーブス?「知らなくていいコト」

「知らなくていいコト」

日本テレビ系、水曜ドラマよる10時。1月8日スタート。
吉高由里子がスクープを狙う敏腕記者を演じる。
字幕翻訳家の母(秋吉久美子)が死ぬ直前に「お父さんはキアヌ・リーブス」と言い残すが……。ってところから、実は殺人犯の娘だったことが判り、なかなかヘヴィーな展開に転がっていく。
第1話のエピソードは「詐欺にあっている老婦人を助けようとやっきになるが、詐欺であることは重々承知で老婦人は寂しさゆえにあえて騙されていたのだ」。さすがに最初からバレバレの展開だったが、ツクリは安定。安心して観られる内容になっていた。
吉高由里子のキュートさと、テーマのもつ重さがどうマッチするか。第2話は「DNA婚活」を追う。

 

「僕はどこから」

テレビ東京系、水曜深夜0:12。1月8日スタート。
テレビ東京の「ドラマホリック!」枠。前シーズンは「死役所」をやってた枠です。
この枠はあなどれない。
深夜なのに(もしくは、深夜だからか)攻め攻めのツクリになっていた。期待大。
文章を書き写すことで、書いた人の思考をコピーできる能力を持つ竹内薫と、最年少組長・藤原智美の物語。Hey! Say! JUMPの中島裕翔が演じる「作家志望の気が弱そうな好青年」と、間宮祥太朗の若い組長の役が、どちらもばっちりハマっていて、いい。
へたな説明セリフで最初に状況設定を手渡そうとせず、1話まるまるかけて、じわじわとふたりのキャラクターの関係性を緊張感もって描ききった。
タイトル前に描かれた花束を持っていた竹内にピストルが突きつけられるシーンにどのようにつながっていくのか、楽しみにして第2話も観ます。

 

内田理央の体当たり演技にびっくり「来世ではちゃんとします」

「来世ではちゃんとします」

テレビ東京系、水曜深夜。1月8日スタート。
5人のセフレがいる性依存系女子・大森桃江(内田理央)が主人公。テレビ東京の深夜枠。
亀甲縛りされてオムライスを食べるなんてプレイを内田理央が体当たりで演技している。
シモネタ恋愛コメディなんだけど、ただのエロドラマではない。直接的な裸は出てこなくて、エロ目的というよりも、コメディだからこそ描ける性の問題を扱おうとしているのではないか。アセクシャル、メンヘラ、ゲイ、寝取られ、女装、こじらせ、多様な存在をコミカルに描く深夜枠の注目作。

 

「ランチ合コン探偵~恋とグルメと謎解きと~」

日本テレビ系、木曜深夜11:59。1月9日スタート。
グルメ(ランチ)+恋(合コン)+ミステリー(探偵)って、ウケそうな要素を3つ合わせました!ってのがミエミエの企画で大丈夫かいなと思ったら、あんがい楽しいドラマになっていて驚く。
ランチ合コンのたった1時間で、伏線をはりめぐらせた謎解きを山本美月(ショートカットが似合う!)が解決する安楽椅子探偵モノ。恋人を見つけたいトリンドル玲奈と、謎を解きたい山本美月の凸凹バディもいい感じ。
毎話、(合コン相手の役で)イケメン俳優がゲスト出演するのも見どころ。第2話は、袴田吉彦と小越勇輝が登場。

 

「アライブ がん専門医のカルテ」

フジテレビ系、木曜よる10時。1月9日スタート。
腫瘍内科医の恩田心(松下奈緒)と消化器外科医の梶山薫(木村佳乃)のバディもの。ストレートな医療感動モノかと思いきや、梶山薫に秘密があって、ラストに不穏な展開になって続いた。高畑淳子の呆然とした表情の凄み。役者陣がとてもがんばってる。
1話目のメインエピソードのラストが「朝日を見て」「涙を流して」「プロポーズして」「がん治療をがんばる」。泣かせる状況がぎゅうぎゅうだが、もう少しうまく構成されていたら良かったのにー。

 

「ゆるキャン△」

テレビ東京系、木曜深夜1時。1月9日スタート。
ゆるゆるガールズキャンプドラマ。アニメ化もされた原作マンガを実写ドラマ化。これは企画の勝利。キャンプ地とキャンプの様子をガッチリ実写で見せる強さよ。
ソロキャンパーの主人公・志摩リンを福原遥(『3年A組』の水越涼音!)が演じる。
原作ファン、キャンプ好きは、ぜひ。

 

「コタキ兄弟と四苦八苦」

テレビ東京、金曜深夜0:12。1月10日スタート。
「きのう何食べた?」(正月SPレビュー)「孤独のグルメ」のドラマ24枠。
古舘寛治&滝藤賢一W主演。深夜で、ちょっとぶっとんだコミカルなドラマで、脚本家は「アンナチュラル」の野木亜紀子。監督は山下敦弘。
レンタルおやじのムラタを宮藤官九郎、喫茶店の店員さっちゃんを芳根京子が演じる。
ぶったおれたムラタの代理でレンタルおやじとして会いに行った女性(市川実日子)は顔面血まみれで、しかも唐突に離婚届にハンを押せという。予想外の展開に転がっていくコミカルな人間ドラマ。ぐいぐい面白くなっていくタイプのドラマだとみた。

 

清野菜名の飼育員が横浜流星! 予測不能「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」

「トップナイフ-天才脳外科医の条件- 」

日本テレビ系、土曜よる10時。1月11日スタート。
脳神経外科医の深山瑤子(天海祐希)の活躍を描く医療モノ。天海祐希、三浦友和、椎名桔平と、めちゃくちゃ巧い役者がガッツリ医療モノをやるとこうなるんだぜ、っていう王道感のある傑作。
そのなかで新米の専門研修医の広瀬アリスが、ちゃんと笑いのツボを抑えた演技で場を和ませる絶妙なバランス(急患の対応をいきなりまかされるとき、ダチョウ倶楽部の動作で「聞いてないよー」という感じ、さりげなくぶっこんでていい!)。
複数の手術を同時並行に描いたり、バーにみんなが集まって雑談するラストなど、海外ドラマのスタイルを意識しているみたいで、それがうまく効いている。
脳腫瘍の手術を受ける男性。その家族の様子がおかしい。実は、手術でもとの「お父さん」にもどってほしくない理由が家族にはあったのだ……。
手術シーンもていねいに描き、意外な展開にしっかりと着地して、それが人間ドラマと自然に結びついている。
王道の医療ドラマ。オススメです。

 

「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」

日本テレビ系、日曜よる10時30分。1月12日スタート。
「あなたの番です」「ニッポンノワール」のヤンチャ枠。
ネット動画を駆使して悪を退治するミスパンダ(清野菜名)と飼育員さん(横浜流星)。
必殺仕事人の現代バージョンなのか!って展開の第1話だったけど、「シロでもクロでもない世界で」ってタイトルを考えると、このままただの「闇の正義」ではいられないんだろうなーってところで、どう展開するかちょっと楽しみ。
展開や伏線はあらっぽく、そのヤンチャっぷりが吉と出るか凶と出るかはいまのところはわからず。
キレッキレの横浜流星のアクションシーンもガッツリ観たいです。

 

一話目のインパクトは「トップナイフ」続いて「恋つづ」か「絶対零度」か

以上、13作品。

王道医療ドラマなら「トップナイフ-天才脳外科医の条件-」
キュンキュン萌えたいなら「恋は続くよどこまでも」
キレッキレのアクションドラマなら「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」
型破りなドラマを観たいなら「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」
深夜枠で気楽に楽し観たいのなら「ランチ合コン探偵」
深夜枠のめりこんで観たいのなら「僕はどこから」

オススメです!

 

さて、これからも冬ドラマどんどんスタートする。

「ケイジとケンジ」1月16日(木曜日)テレビ朝日よる9時
「病院で念仏を唱えないでください」1月17日(金曜日)TBSよる10時
「この男は人生最大の過ちです」1月18日(土曜日)テレビ朝日深夜
「心の傷を癒やすということ」1月18日(土曜日)NHK総合よる9時
「麒麟がくる」1月19日(日曜日)NHK総合よる8時
「テセウスの船」1月19日(日曜日)TBSよる9時
「ホームルーム」1月23日(木曜日)MBS深夜
「女子高生の無駄づかい」1月24日(金曜日)テレビ朝日深夜
「ハムラアキラ~世界で最も不幸な探偵~」1月24日(金曜日)NHK総合よる10時
「絶メシロード」1月24日(金曜日テレビ東京深夜
「アリバイ崩し承ります」2月1日(土曜日)テレビ朝日深夜
「伝説のお母さん」2月1日(土曜日)よる11時30分
など!

楽しみである。

ゲーム作家。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「はぁって言うゲーム」「記憶交換ノ儀式」等。デジタルハリウッド大学教授。池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」の道場主。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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