ロマンチックに起業してみた

明日からちょっとだけ起業したくなるロマンチックなこと、あなただけに言うね

社会人になって7年目の森本萌乃さん。四つの会社で多様な働き方を経験してきた彼女が、今チャレンジしようとしているもの。それが、「起業」です。資金を貯めて、事業計画をつくって、売上シナリオを作って、イノベーティブなサービスをプロダクトして……、なんて大仰な起業、ではありません。新世代の起業はもっとしなやかで感性寄りのもの。自身の生き方を考えるためにも起業したいという、彼女の現在進行形の起業ストーリーを、短期連載でお届けします。

●ロマンチックに起業してみた 08

“ロマンチックに起業してみた”最終回!この連載を始めて嬉しかったこと。

起業って難しそう……。

イメージが先行しすぎてビクビクしていた起業準備、何度も言うようですが、起業だけならほんとにほんとに簡単でした!

ウェブサイトやビジネス書を開くとみんな小難しい言葉を並べているので、自分自身が簡単の証明になればいいなと思って書き始めたtelling,の連載。無事起業が完了してサービスもスタート目前、「ロマンチックに起業してみた」の連載は今日が最後となります。

今回を含めて全部で8話、原稿用紙にすると50枚ほど。
文庫本の短編小説約1つ分の文字量に、私の起業ストーリーを詰め込みました。

この連載を始めて、特別に嬉しかったことが2つあります。

ひとつは、起業のハードルを下げられた実感があること!
「私も起業してみよっかな」
「僕も起業できる気がしてきた」

周囲からそんな声が少しだけ聞こえてきました。連載開始当初の目的通り、私が簡単の証明になれていたなら本望以外の何者でもありません。

もうひとつは、telling,で書けたこと!
これは忖度でもなんでもなくて笑、telling,編集部の方々から頂く言葉がいつも温かかったです。

初回のミーティング。
「奇をてらって数字取らなくていいです、柔らかく意見を投じましょう。」

切羽詰まって記事が書けない時。
「どうか焦らないで書いてください、起業おめでとう!」

telling,のウェブサイトの「about」のボタンをクリックすると出てくるステートメント、そのまんまの温かさを編集の皆様とのやりとりで感じさせていただきました。

今日は最終回。私の渾身の「あなただけに言うね」と題して、明日からあなたもちょっとだけ起業がしたくなることをお届けしたいと思います。

# 1つ:失敗はない。

うまくいかなかったらどうしようって、新しいことに挑戦する時はいつも不安です。でもそれを「経験」として捉えると、少しだけ楽になれる気がする、少なくとも私はそうでした。

私がこれをしたら、こうなる。
今までにない経験値が貯まる。

私の会社、この先の未来は全く分かりません。来年には倒産しているかもしれないし、赤字でサービスが回らなくなっているかもしれない。不安は山積みだけど、それは全部私自身の経験値です。

ビジネスのこと全くナメてはいませんが、決断を下す時にはあえてこう言い聞かせます、「失敗はない」。

自分を強く保つためのおまじないです。

# 2つ:動けば決まる。

会社立ち上げまでのプロセスは、一見体系化されているように見えて、実は一人一人それぞれに起業ストーリーがあります。

だからまず動いてみる!

会社名、事業内容、資金繰り、仲間...
何も知らずに見切り発車で始まった起業ですが、気がついたら全部どうにかなっていました。

もしも今起業を考えていて、不安が足かせになっている方。
それはお金かもしれないし、知識かもしれないし、アイディアかもしれないけれど、大丈夫。動けばなんとかなります。

学生時代に部活を決めたとき、志望校を決めたとき、会社を決めたとき……始まりっていつも、それくらい粗っぽい熱と直感じゃなかったですか。

なんか分かんないけどやってみたい! 私、人生の大切な決断こそそれでいこうと思っています。

# 3つ:人は優しい。

起業前と起業後、周囲の態度が明らかに違います。特に社会人や起業の先輩たち。

仕事頑張っている人って、好んでリスクを取りに行くタイプの人が多いからか、同じくリスクを取った人間として起業した事実をまずは歓迎して応援してくれました。それは少しだけ、新卒で会社に入社した時に頂いた歓迎と似ている気がします。

「自分で会社を持つ」という一つの決断はもはやそんなに珍しいことではなく、挑戦してみると案外受け止めてくれる同じような境遇の先輩が世の中にたくさんいること、とても起業しやすい時代です。

# 4つ:1人だから、1人じゃない。

1人きりの起業、とはいえ振り返るといろんな人の手助けがありました。

起業のプロセスで行くと、会計士の友達、その友達を通じて出会った弁護士の方、前職の仲間たち。ご好意に甘えていろんな局面で助けていただきました。いつか恩返しをしたい人が増えました。

事業立ち上げのプロセスで行くと、こちらもまた素敵なご縁の連続。楽しい仕事の可能性広がる人間関係が、少しずつできかけています。

法務局や税務署すら、キョロキョロしていると絶対に職員の方が声をかけてくれる!薄暗いお役所だと思っていたけれど、そこで働く人たちはとっても優しいです。

1人きりで始めたから、差し伸べてくれる手がたくさんあった。

その手の数や温かさを思い出すだけで、大げさじゃなく、生きててよかったと思える思い出がたくさんあります。

# 5つ:記念日が増える。

30歳を間近に、人生の記念日なんて今後できるか分からない結婚記念日と、同じく生まれてくれるか分からない子供の誕生日くらいなのかなあと思っていたら……思いがけず「会社創業日」という記念日が人生に加わりました。

創 業 日。……いい♪
会社の創業日であり、ロマンチックに生きようと決めた日。2019年2月27日を、私はきっといつまでも忘れないだろうと思います。

ということで、最後にあなただけに言うね。
起業、それはそれはとてもロマンチックな日々でした。

  • telling,では今後もライターを募集しております。「あなただけに言うね」な等身大のストーリーを文字で伝えたい方は、ぜひご応募ください!……と、偉そうに告知してみましたが、私も飛び込み営業で「書かせてください!」と言った1人です。
  • https://telling.asahi.com/request
㈱MISSION ROMANTIC代表、たった1人の社員。広告代理店に4年勤めた後、外資やベンチャーを経由し2019年3月起業。小説を通じて人と出会う人力マッチングサービスを運営、ロマンチックに生きて行きたい。
好きを仕事に