【内田嶺衣奈のBon week-end!#最終回】東京五輪・結婚…私にとっても特別な2021年。これからもみなさんと一緒に歩んで行けたら

報道番組などに出演のフジテレビアナウンサーの内田嶺衣奈さん。入社9年目を迎えて身近な人の結婚や出産が相次いだり、後輩を指導する立場になったり、「体」の変化を感じたり――。仕事やプライベートについて今感じていることなどを内田さんの等身大の言葉で、毎月第2土曜日にお届けしてきた連載の最終回です。
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コロナ下でキャスターを務めた経験

気付けば12月で2021年もまもなく終わり。この1年は私にとっても特別な年となりました。仕事では入社1年目に東京での開催が決定し、携わることを目標にしてきた五輪を終え、1つの節目に!

今年結婚したことも、私にとって大きな出来事。
家に帰ると様々なことを話したり、「お疲れさま」と言ってくれる存在がいるのはとても心強くありがたいことだと日々、実感しています。相手にとっても、そんな存在でいられたらいいなと思いますね。“家族”という単位でモノを考えるようになるという新しい価値観もうまれました。ご飯も自分のためだけでなく、不規則な勤務になる夫の健康をより意識して作るようになりましたね。

一方、昨年に続いて新型コロナウイルスに振り回された1年でもありました。視聴者のみなさんに伝えなければいけない事柄もたくさんあり、報道番組はコロナを中心とした構成。この大変な時期に、キャスターとして想いを巡らせながらニュースに向き合う日々は、私自身の学びにもつながりました。

フィギュアのシーズン到来!しかし今年も……

さて、冬の到来とともにフィギュアスケートの本格的なシーズンになりました。私はソチ五輪後の2015年からフィギュア中継の担当につき、現在も中継キャスターとしてリポートやインタビューなどを担当しています。毎年寒い時期になると「あぁ、今年もフィギュアの季節が来たな」と感じます。フィギュア中継は、毎シーズンそれぞれ違ったドラマや大きなやりがいがあり、とても刺激的です。
先日、コロナの変異株「オミクロン株」の感染拡大の影響で昨年に続いてグランプリファイナル中止というニュースが飛び込んできました。仕方ないことではありますが、やはり残念です。

昨シーズンは選手にとっても、すごく難しいシーズンだったと思います。国内外で中止になる大会が多かったうえ、無観客開催となった試合もありました。シーズン初戦が12月下旬の「全日本フィギュアスケート選手権」という選手もいて、まさに異例のシーズンでした。

これまで国内外の大会では、現地でリポートしたり、演技直後の選手に近い距離で直接インタビューをしてきました。しかし昨年は十分な距離をあけたアクリル板越しのインタビューや、ディレイが4~5秒ある状況で、オンラインで海外にいる選手達に話を聞くことも……。

今までのスタイルとの違いに戸惑った一方、”伝え方”は豊富にあると気付かされました。視聴者の方は時には、もどかしく感じられた部分もあったかも知れません。それでも本当に大切な選手の演技や表情、想いは、どんな状況下でも届けられると実感出来たことは収穫。スタッフ含めみんなで様々なチャレンジをしながら、試行錯誤してよいものを放送しようという雰囲気の中、ピンチを乗り越えていく経験ができたシーズンでした。
そういう柔軟性は、他の場面でもどんな時も忘れずに持ち続けなければいけないなと思います。

そんな、今ではフィギュアにどっぷりな私も、フィギュアスケートを本格的に学び始めたのは担当についてから。選手が自分自身と戦い限界を超えよう、ベストを尽くそうとする“姿”――。プログラムを通して様々な想いを表現で伝えるところが最大の魅力のスポーツです。
基礎点とGOE(出来栄え点)、演技構成点で採点される競技なので、見ている方は難しく感じられるかもしれません。細かいルールも多いので、すべてを理解するのは難易度が高いと思うんですが、知識が増えれば確実に見方が変わります。
中継では、多くの方にわかりやすく伝えたい想いがある一方、フィギュアスケートにとても詳しいみなさんにも満足してもらいたい。その意味では伝え手として難しさもある競技ですね。

今でも緊張する演技後の選手インタビュー

フィギュアを担当してから印象に残っているのは、2018年の平昌五輪。羽生結弦選手が金メダル、宇野昌磨選手が銀メダルというワンツーフィニッシュを現地で取材していたんです。あのまばゆい輝きを放つ姿・胸を打つ演技に感動し、自然に涙が溢れて止まりませんでした。心を動かされた、と強く感じました。
私がフィギュアで一番グッとくるのは、演技を終えて観客から拍手が起こった瞬間の選手の表情。重圧から解放され少しほっとしたような、充実感に満ちたあの表情を見るのがすごく好きですね。

毎年、フジテレビが放送している全日本フィギュアスケート選手権。今年は12月23日から26日まで(27日はエキシビション)。
北京五輪直前で、五輪選考会も兼ねているので、ものすごく引き締まった空気になると思います。男女とも優勝者は自動的に代表に選出され、2位以下に関してはグランプリファイナルの成績や今シーズンのランキングなどが考慮されて選ばれるはずだったのですが……。
選手達には戸惑いもあるかと思いますが、グランプリファイナルが中止になってしまった分まで、全日本に想いをぶつけて欲しいです。

フィギュアの担当になった直後は、リポートもインタビューも、本当に全部が難しいと感じていました。経験を積むにつれリポートには慣れてきたのですが、インタビューは今でも緊張します。直前まで、どんな演技かわからないですし、本番で思ったように力を出し切れなかった選手に直後にお話を聞くことだってある。そういった場合のインタビューは、本当に心が苦しくなりますし、言葉の選び方ひとつに神経を研ぎ澄ませています。たった一言、使うトーンひとつで、伝わり方が本当に変わってしまうので。
この人になら話したいと思ってもらえるような、人に寄り添えるインタビュアーになることを、ずっと目指していますね。

久々の中継で伝えたいバドミントンの“魅力”

私が担当しているもう1つの種目がバドミントン。2年前から出演している「お台場バドミントン学園」というBSの番組がきっかけです。
それまでは遊びでバドミントンをすることすら無かった私ですが、番組でシャトルの工場見学やラケットのガット張りを体験しに行ったり、選手達のお話を聞いたりする中でどんどん身近に感じるようになりました。次第に番組でインタビューをさせてもらった選手が増えていき、今ではその選手達が出る大会をドキドキしながら見るように。

そしてとても大きかったのは、番組での潮田玲子さんとの出会い。明るくてタフで、面白くておちゃめな方で、大好きなんです。

そんなご縁もあり、フジテレビが放送する全日本総合バドミントン選手権(25日から・30日の決勝は地上波でも放送)のキャスターを潮田さんと一緒に務めることになりました。
フジテレビとしても久々のバドミントン中継。私もスタッフも、どのようにお伝えしたらバドミントンの魅力がより伝わるのかを一生懸命考えています。バドミントンファンが少しでも増えるような中継にしたいですね。
今年の年末はスポーツ三昧になりそうですが、元気に走り切りたいと思います!

楽しみな自分自身の変化、そして

telling,での連載は実は今回で最終回。半年間を振り返るとあっという間でしたが、その時その時の想いを、包み隠さずしっかりとお話しさせてもらいました。アナウンサーが自分の言葉で想いを伝える機会は意外と限られているので、毎回すごく新鮮でした。
読者のみなさんは、果たして私の話に興味を持ってくれるのだろうか――。様々な不安を抱きながらのスタートでしたが、ありがたいことに「仕事に臨む考えを知ることができてよかった」「なんだか身近に感じた」などの感想をもらう機会も。励まされましたし、言葉が届くのは、幸せなことだと改めて感じました。

お仕事の勝手が少し分かってきた入社9年目の今の時期に、連載という初めてのことを経験できて刺激的でした。結婚のご報告もさせていただきましたしね。同世代の女性に内田嶺衣奈というアナウンサーの存在を、知ってもらえていたら&少しでも身近に感じてもらえていたら幸いです。
年齢を重ねるたびに悩みも、ぶつかる壁も変わります。そして見える景色も得られる刺激も変化する。私はずっと、刺激があることが”面白い”と感じながら過ごしてこられた気がします。

選択肢が広がっている時代。自分で自身の可能性を狭めずにこれからもチャレンジを続けていきたいですし、心と向き合い、楽しそうと思ったら、飛び込みたい。知らない世界はまだ、たくさん待っていると感じています。もし子どもができたら、今とガラッと価値観が変わるかもしれないですし……。自分自身の変化が楽しみです。恐れることなく、前に進んでいきたいと思います。

半年間、どうもありがとうございました。
これからもtelling,読者のみなさんと一緒に歩んでいけたら。
ご活躍を願っています。
身体と心を大切に過ごしてくださいね。

それでは、また、どこかで
Bon-weekend!

【内田嶺衣奈のBon week-end!#5】学生時代の留学でハマったフランス、「語学が“幅”を広げてくれることに気付きました」
1990年1月、東京都生まれ。2度のフランスへの留学を経て上智大学文学部仏文学科卒業。2013年、フジテレビにアナウンサーとして入社。「すぽると!」や「笑っていいとも!」などに出演し、人気を集める。現在は「Live News α」金曜、「FNN Live News イット! Weekend」のメインキャスターを務める一方、フィギュアスケート中継や取材も継続的に担当している。趣味は料理、旅行や舞台・映画鑑賞。
ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。
内田嶺衣奈のBon week-end!