花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか

花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか13 【秋色ミナヅキ】(最終回)

そこにあるだけで、癒しをくれる花。贈りものとしての役割が大きくて、ついつい“特別なもの”と思ってしまいがちですが、たった一輪、暮らしの中に飾るだけでいつもの空間がやさしくなる気がします。花のある“ちょっと幸せ”な日々。そんなフラワーライフを送るべく、花好き女子が旬の花を買っては紹介していくコーナーです! 基本的に毎回の予算は1,000円くらい。ハッピーフラワーライフへの道はいかに。

●花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか13(最終回)

秋になると色が変わる!

ミナヅキって、知っていますか? アジサイの仲間で、アジサイよりも小さなガクが寄り集まってもっとフワフワした感じの植物です。このミナヅキ、フレッシュなものはアジサイと同じく梅雨時に白や淡いグリーンの姿を見せてくれるのですが、夏を過ぎて9月後半から10月になると変身!アンティークなしっとりとしたピンクになり、名前も「秋色ミナヅキ」として花屋さんに並びます。まるで紅葉のように色変わりする様には、季節とトキメキを感じずにはいられません!

秋色ミナヅキは円錐状。花(ガク)は触るとフワフワ。
ドライになりやすいので、カゴにそのまま入れたり棚に置いたりしても没問題!

この秋色ミナヅキはちょっとカサカサした質感なので、そのまま飾っておいてもドライになりやすくとってもお手軽。けれどもう少し凝った飾り方をしてみたい!ということで、フラワーアーティストのCHAJINさんにステキな方法を教えていただきました〜。

その方法とは、リースにすること!

「秋色ミナヅキは一輪の中にいろいろなピンクの濃淡があるので、比較的ボリュームのある一本だったらそれを小さく切り分けてリース上に点在させると濃いピンクと薄いピンク、白っぽいところが混ざり合って、それだけでもシンプルでとても絵になります」(CHAJINさん)

秋色ミナヅキの置きリース。アンティークなピンク色の濃淡が、しっとりと秋を教えてくれる。お好みで実ものを上にトッピングしても!

今回教えてもらったのは、置くタイプのリース。作り方としては「よくクリスマスの時期に木ヅルを編んだようなリースが売っていますが、そういうものに切り分けた秋色ミナヅキを挿し込んでいくだけ」という簡単さ。木ヅルのリース、雑貨屋さんでも売っているのを見たことがあります。結構安価だった記憶。これなら初心者レベルの私でもできそう……!「もし誰かに差し上げるとか、壁掛けにしたい場合はボンドを使って接着した方がいいですね」とのこと。

コツとしては「ツルの上と横、内側を意識しながら挿していくと全体がドーナツ状にうまくできると思います。花材の量が足りないようであれば、上面だけにミナヅキを挿していくのもいいですね。そうすれば上はミナヅキで、側面は木ヅルの風合いが見えてそれもかわいいです」。うーん、それもよさそう!もし作るのに自信がない人は「花の量が足りるかどうか、切り分けた花をまずリースの上に並べてみて、イメージを作るとやりやすいかもしれません」とのこと。なるほどです〜。

「秋色ミナヅキは徐々に花の色が抜けてきて、最終的には一色の茶色い感じになります。ドライになりながらも時間経過とともに風景が変わっていくので、そういうところも楽しむといいかもしれませんね」。はぁ、いいですね秋色ミナヅキ〜!!!

実ものでマイナーチェンジも

秋といえば、実りの季節でもあります。CHAJINさん曰く「秋も深まって来ると段々実ものも出てくるので、たとえばまず秋色ミナヅキだけでリースにしておいて、中秋や晩秋ごろに実ものが出て来たら、そのリースの上に置くだけでちょっと風景をマイナーチェンジしてみるのもいいかもしれません」。

カラスウリをジャムの瓶に(右)、スズメウリとシンフォリカルポスをシュガーボウルにそれぞれイン。それだけでカワイイなんてズルい!実ものバンザイ!

このリースに置いたのはオレンジ色のカラスウリ、緑色の小さなスズメウリ、白いのはシンフォリカルポスという実もので、ピンク色の小花はアストランチア、細々した花はセダムっていうそうです。か、かわゆい……!

実ものは脇役としても優秀ですが、単体でも楽しめるそうな。たとえば「カラスウリに葉っぱを合わせて、一期一会的にしてみたり、カラスウリは実が付いているツタをあえて残して飾ってもニュアンスが出るのですてきです」。合わせているのはジャムの瓶だと言うから、ウチにあるささやかな器でできそうなのもポイント高いです。

もし器もなければ、ただ棚の上に置いておくだけでもいいとか!

「市場で仕入れて来ると途中でこぼれてしまったりする実があるので、それを小さなシュガーボウルに入れてみたり。折れたり崩れたりしたものも器に入れるだけで、ちょっとした装いになります。そのままサヨナラではなくて少しの時間でも愛でてあげられたらと」という花に対する愛あふれるCHAJINさんの、優しい花あしらいですね。
秋になると色を変える秋色ミナヅキや、豊かな季節を感じさせてくれる実ものなど、そのときにだけ出会える植物たち。家にいてくれるとホッと心が和みます。ぜひぜひ、花屋さんに会いに行ってみてください〜!

CHAJINさん、ありがとうございました!!!

● 今回お訪ねしたフラワーアーティストさん
CHAJIN(福田たかゆき)さん
フラワーアーティスト。暮らしまわりの雑貨と季節の花を合わせ、個性的でありながらもカジュアルな花あしらい、存在感あるリースの作品が得意技。雑誌や広告の花生け、展示会の花生けの他、鎌倉のアトリエや都内各所で開催中の花教室も人気。著書に『きょうの花活け』(誠文堂新光社刊)など。紅茶好きでプロレス好きで愛猫家。鎌倉在住。Instagramのアカウントは @chajin_eye

(「花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか」の連載は、今回で終了します。ご愛読いただき、ありがとうございました。)

編集者。台湾に心奪われ隙あらば旅に、あげく勤めていた出版社を辞めて台北に語学留学。台湾や植物関連の書籍制作に携わる。ラブ台湾、ラブ植物!