新垣結衣 主演ドラマ「獣になれない私たち」で考えるパワハラ対処法

新垣結衣さんと松田龍平さんW主演で話題のドラマ「獣になれない私たち」。その中で、新垣さん扮する深海晶が、勤め先の社長に過度なパワハラを受けている描写があります。どうして彼女はハラスメントの被害者になってしまうのでしょうか?独自のハラスメント対策を提唱する「離婚しないモラハラ対策」のジョーさんに解説してもらいます。

今季話題の連続ドラマ「獣になれない私たち」(日本テレビ系)。
第1話で、新垣結衣さん演じる深海晶(しんかい・あきら)が会社の社長からパワハラを受けるシーンがありました。

ドラマなので、今後の展開がどうなるのかは分かりませんが、第1話を見て私が考えた、ガッキーがパワハラを受けてしまう原因とその対策について解説します(以下、ネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください)

どうしてできる社員のガッキーがターゲットに?

まず最も重要なことは、晶(ガッキー)は、この社長から個人的に憎まれてパワハラを受けているわけではないということです。

第1話では、専ら、営業の晶と上野君(犬飼貴丈)だけが、やり玉に挙げられます。それはなぜか。単にこの2人が、社長が思う「業務のスムーズな遂行」を妨げているからです。

まず新人の上野君に関しては、シンプルに仕事ができないので、社長の怒りの対象になっています。
これは分かりやすいですね。

分かりにくいのはガッキー扮する晶です。

彼女は、営業アシスタントでありながら、営業社員よりも仕事ができるし、一番まじめに仕事もし、目立ったミスもありません。

それなのになぜ、彼女が一番、怒鳴られているのかというと、彼女が「社長の期待を引き受け過ぎているから」です。

この社長は、各社員に関して「無関心」です。

彼はとにかく「個人的に」、自分が思う仕事の流れが滞ることを嫌う「だけ」の人なので「(誰でもいいから)誰かできる者がその業務をやり、とにかく俺の行く道が妨げられなければ、それでいい!」という程度の認識です。

社長がそういう価値観なので、おのずとこの会社の仕事は、「社長の期待を引き受けようとする者」に集中します。
つまり、彼女に仕事が集まるわけです。

その上で、それぞれの社員に与えられた、それぞれの「期待」が少しでも裏切られれば、その都度、社長はブチギレます。

ということは、当然この会社では、社長からの期待を引き受ける社員ほど、結果的にパワハラ被害が悪化し、期待されないように逃げる社員は「お咎めなし」という傾向になっていきます。

●まとめ:営業社員のパワハラ被害事情

晶(ガッキー)・・・最もひどいパワハラ被害(理由:社長からの期待を引き受けすぎるから)
上野・・・パワハラ被害あり(理由:社長からの期待は軽いが、その軽い期待すら満たさないから)
松任谷・・・パワハラ被害なし(理由:最初から期待されてないから)

ガッキーの問題点

まず、彼女がこの会社で際限なく仕事を引き受けてしまうのは、社長のことが怖くて、断れないからではありません。私はそもそも、ガッキーは社長の存在に、怯えてすらいないと思います。

社長の存在を恐れているのは、営業の上野君です。

第1話全体を通して、社長に罵倒されている時の、上野君と晶の表情の違いを見比べてください。上野君は明らかに恐怖に震えていますが、他方で、彼女の表情には、一貫して「怯え」がありません。いつも、ただただ「困っている」だけです。

では、晶は、なぜ、無理な仕事や責任を引き受けてしまっているか。それは、彼女自身の「過剰な責任感」にあります。だからこそ彼女は、社長からの指示だけではなく、新人社員の仕事まで平等に(しぶしぶ)自ら引き受けていまっているわけです。

つまり、そもそも彼女は、他者の威圧に屈して行動するタイプの人間ではないということです。

彼女は、彼女自身の内側から突き上げる「責任感」「犠牲者精神」に抗えず、結果、自主的に犠牲を買って出ています。
では、そんな彼女がパワハラ被害を免れるためには、どんな対処法があるでしょうか?次回、解説していきたいと思います。

パワハラ110番