専業主婦(34歳)

いい人に出会えなかったら、結婚しなくてもいいと思ってた。

専業主婦(34歳) 大きな荷物を持って、表参道のベンチに腰掛ける彼女に声をかけると、「名古屋から2泊3日で東京旅行に来ています」と教えてくれた。一緒に来たという友人を待っている間、話を聞かせてもらった。

 去年の11月に結婚して、今は専業主婦です。その前はブライダルのヘアメイクとして働いていましたが、仕事が忙しくて家事ができないので、結婚を機に辞めました。私は平日休み、夫は土日休みで、二人の休日が合わなかったのも辞めた理由の一つです。

結婚に対して夢はなかったです

 私は運よく自分に合う人に出会えて結婚しましたが、焦って結婚するんじゃなくて、結婚したいと思ったときにしよう、と決めていました。それは、何年か経ったときに「結婚してよかったな」って思いたいから。もし、いい人に出会えなかったら、結婚しなくてもいいと思っていたんです。

 それに私、結婚に対して憧れとか夢がなくて。昔からそういう考えでしたが、長い間ブライダルの仕事をしてきたことも影響してるのかも。「結婚」に憧れをもって結婚した人もたくさん見てきたから、私は現実的な考え方をするようになったのかもしれません。

 女の人って、「30歳までに結婚しなくちゃ」って焦る人も多いけれど、そういう考えはあんまり意味がないなと思っています。「この人とずっと一緒にいたい」とか「この人と子どもを作って家庭を築きたい」って思いが先にあって、その向こうに結婚があると思っていて。「結婚」自体がしたくて結婚しても、結婚後も現実の生活が続くわけじゃないですか。結婚ってゴールじゃなくて、スタートですよね。

 ……とは言っても、子どもが欲しいとなると年齢的なことも考えないといけないし、難しいですよね。

彼からの愛と家族からの愛は、似てると思いました

 実は、夫は出会った当時、結婚願望がなかったんです。だから私も、この人と付き合っても結婚はしないんだろうなと思っていました。でも、付き合って半年くらい経った頃には、お互い結婚を考えていました。たぶん、私も「いい人がいれば結婚しようかな」くらいの考えだったから、そこが合ったんだと思います。

 私は直感を大事にしているんですが、彼は付き合ってすぐにこの人だなってピンときました。彼からの愛と、自分の家族からの愛がすごく似てると思ったんです。一緒にいると安心できて、昔から一緒にいたような不思議な感覚でした。

 私にとっての「いい人」とは、「相手のことを尊敬できる」とか、「お互いに思いやりが持てる」とか、いろいろありますが、一番は「価値観があって一緒にいて笑顔になれる」ような人ですね。彼はまさにそういう人で。結局、2年くらい付き合って結婚しました。

子どもを産んで落ち着いたら、また美容の仕事がしたい

 今は働いていませんが、いつかまた美容のお仕事はしたいです。専業主婦になってから、人や社会と接する機会が全然なくなってしまってそれがちょっとつらいですね。でもブライダルのヘアメイクは忙しいので、今はちょっと厳しいかなと思っています。

 子どもも欲しいです。もともと、結婚したら子どもは欲しいなぁと持っていたので。仕事もしたいですが、年齢的なことを考えると、まずは子どもが先かな。高齢出産は大変って聞きますし。仕事を始めてすぐ産休・育休を取るのもどうかと思うのでどもを産んで、子育てが落ち着いてきたらパートくらいで美容の仕事をするのが理想です。

表参道にて 

1990年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒。新聞記者として勤務したのち、中古車メディアの編集として特集制作などの経験を積む。結婚を機に名古屋に移住し、現在はフリーランスとして活動中。趣味は旅行。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
街頭インタビュー