ネイルウェア販売®・コンサルタント(35)

妥協せず働きたい。でも、体とも対話するようになりました。

ネイルウェア販売®・コンサルタント(35) キラキラした雰囲気をまとう彼女。「でも、私って男っぽいと思いますよ」と雰囲気に似合わないことを言い出した。恵比寿のシークレットサロンで話を聞いた。

 ネイルウェア®「JEWNEL」を扱う資格を取ってショップを立ち上げ、お客様に販売したり、ブランドを広めるためにイベントを開催したりしています。一応、会社を設立していますが、個人事業主に近いですね。もともとファッションや美容に関することが大好きなので、今の仕事はすごく向いていると思っています。

体と心がかみあわなくて、ある日突然起き上がれなくなった

 新卒で大手アパレルメーカーに入社して、一度転職。27歳の時に、さあ、フリーランスでやりたいことを思いきりやってみるぞ、とやる気いっぱいだった時に、ストレスと過労が重なり体調を崩してしまいました。今思うと、自分がやりたいことと周囲の状況がちょっとずつ噛み合わなくなってしまっていたんですけど、その時は気づかなかったんです。ある時突然起き上がれなくなってしまって、ほぼ1年ぐらい寝たきりの時期がありました。1年って長いですよね。

 療養中は映画を見たり、本を読んだりしていたんですけど、あるとき急に目も見えなくなってきてしまって。「若年性白内障」を患ってしまったんです。しかもやっかいなことに、症状がある程度進まないと手術できないって言われて……。だんだん視界が白くなっていく状態で3カ月ぐらい過ごしました。

 トイレやお風呂、食事などは体が覚えているのでなんとかできるんですけど、本も読めないし映画も見ることができない。仕方なくドラマCDや音楽をずっと聴いていました。おかげでやたら声優さんに詳しくなりましたよ(笑)。

いろんなことに興味がありすぎて、時間も体も足りない

 フリーになってからは、ファッションブランドのPRを手がけたり、美容系の仕事をしてみたり、女性向けのWebメディアを自分で作ってみたりもしました。メディアは全部自分で取材して記事を書き、かなり力を入れて作ってましたね。いろんなことに興味がありすぎて、なにか一つのことをやっている最中にまた新しいアイディアが沸いてやりたくなっちゃうんです。飽きっぽいというよりは、欲張りなんですよね、きっと。

 いろんなご縁があって「JEWNEL」に出会って、これを広めていくぞと思って頑張っていた矢先に、去年の秋、また体調を崩してしまったんです。それまで一人暮らしをしていたんですが、親が心配して、部屋を引き払って一旦実家に戻りました。心は元気なんですが、体が全く言うことをきかないというもどかしい状態でしたね。

 さすがに体調を崩すのが2回目なので、漢方の先生に話を聞きに行ったりしたら、「あなたは頭をずっと使いすぎているよ」と言われたんです。仕事のときはもちろんですけど、仕事以外の時間でもずっと「これはあの案件に使えるな」とか、街を歩いていても人に会っていてもすぐ仕事に結びつけちゃう。エンジンがずっとフル回転している状態だから、もう焼ききれて交換するしかないっていうところまでいっちゃうんだと。

 たしかに、集中すると周りが見えなくなったり、徹夜作業も苦にならなかったり、本当に没頭しちゃうんです。思考の方法や働き方は、男性的かもしれないです。でも体は女性だから、そこで無理が起きちゃう(笑)。今は意識して「何も考えない」訓練をしたり、ちゃんとON・OFFをのメリハリをつけて「休む」っていうことを習慣化する努力をしています。

「安心」がほしいと思って、結婚を意識するように

 この5月にやっと完全復帰できたんですけど、初めて「結婚」をちゃんと意識するようになりました。親だって、いつまでもいるわけじゃないし。もしまた体調を崩してしまったときにひとりぼっちなのか? と思ったら、さすがに少し不安になりました。だから「誰かがいる」という安心がほしいとか、自分の家族を作らなきゃという気持ちになったというか。いつ治るか分からない病気にかかったことがある人にしかわからない感覚かもしれません。

 同級生の女性たちは、ほとんどが30歳までに子供を産みたいから、と20代のうちに結婚しました。そんな中私はやりたいことに全力投球で、たくさんの人に出逢うことが楽しくて、結婚をそっちのけで自由に好きなことをやり続けてきました。「結婚願望あるの?」とたまに聞かれるけど「全然あるよ。いつかはもちろん・・・」と言いながらいつの間にか(笑)。

 子育てもしながら、やりたいことも思い切りやりながらキラキラしている先輩女性たちを見ていると、最近は、「結婚適齢期」ってなくなってきているのかな、とも思います。その人それぞれ、自分にとって必要だと思ったタイミングが「適齢期」ですよね。

 どういう人がいいんでしょうね。私、「会う時間も大事だけど、お互い仕事もやりたいことも大事でしょ」とか言っちゃうので、それに理解がある人がいいですね。尊敬し合えて支え合える、互いにとって「安心」になれる関係が理想的ですね。やっぱり男性っぽいですかね、考え方(笑)。

恵比寿にて
(撮影場所提供:シークレットサロン アリュクス東京)

朝日新聞バーティカルメディアの編集者。撮影、分析などにも携わるなんでも屋。横浜DeNAベイスターズファン。旅行が大好物で、日本縦断2回、世界一周2回経験あり。特に好きな場所は横浜、沖縄、ハワイ、軽井沢。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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