マルチに活動の「乃木坂46」の山崎怜奈さん。いつのまにか知らず知らずのうちに“自然にある存在”へ

「乃木坂46」のメンバーの山崎怜奈さん(23)のマルチな才能が注目を集めています。クイズ番組での活躍や、歴史本の出版、TOKYO FMの「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」のパーソナリティ……。様々な分野への好奇心の「源」などについてお話を聞きました。

――そもそも「乃木坂46」に入った理由を教えてください。

山崎: 「社会勉強に」と思った母が、中学生の私に内緒で応募したんです。負けず嫌いだったので、オーディションを受けずに断るのことができなくて。「落ちるつもりで」と思って参加したら、ありがたいことに合格させてもらいました。

――入ってなければ、と考えることはありますか。

山崎: 国立の大学に進学し、大学院に行っていたと思います。学生時代の目標は、お金をかけないで勉強をすること。成績優秀な生徒がもらえる奨学金が欲しくて、学年1位を目指していました。乃木坂46に入っていなければ、高校時代に留学もしていたかな。

今でも、いつかは大学院に行きたいという気持ちもあります。卒業論文の続きを、ちゃんと勉強したいという思いからですね。卒論では男性の化粧品全般について書きました。
理由は、自分自身が見られる立場にあり、握手会に来てくださるファンの方には男性もいらっしゃることに加え、私自身、肌が弱かったこともあります。大学で勉強したことに加えて、日頃考えていたことを集約した結果、男性の化粧品というテーマにたどり着きました。

意識したのは、可能性を自ら狭めないこと

――昨年の慶応大学卒業後も、勉強はずっと?

山崎: 今、学びたいこともたくさんあります。クイズ番組に出演しているので、日々入ってくる情報が多くて。大学も専門分野に特化するというより、興味のアンテナの先を勉強していく感じでした。脳科学とか国際関係、哲学や心理学などいろいろとかじってきましたが、今後もそうしていきたいですね。

お仕事にもつながりますしね。
様々な方と接するときに、学生時代にかいつまんで勉強していたことが役立つこともあります。自分が少しでも知っていると、話の聞き方や展開が全然違うんですよね。

――歴史についての著書『歴史のじかん』(幻冬舎)を出版されるなど様々なことに挑戦されています。「やりたいことが見つからない」という人を、どう思いますか。

山崎: 私は、可能性を自分自身で狭めることをしないように意識してきました。「やりたいことや興味があることが、ない」という人には、とりあえず片っ端から全部やってみることをオススメします。すると後で使えることがたくさんあると思うんですよね。

一方で、やりたいことがないという人は、「その時その時を精一杯生きているのかな」とも思います。やらなきゃいけないことがあるから、やりたいことに目を向けている場合じゃない……。だから、自身が何を最優先にしているかを考えることが大事。すると自然にやりたいことは見つかると思います。

「ラジオがあったから社会の動きや人の価値観に触れられました」

――コロナ禍で迎えた2度目の4月。社会人になったり、大学に入学したりする人は新生活をスムーズに始められない。もちろん、厳しい環境に置かれている人もたくさんいます。

山崎: 「みんな、しんどさを持っている」と強く感じています。そのしんどさに蓋をしないということを最優先に考えています。その気持ちを肯定し、互いに労わり合うことが必要だと感じるので、「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」から届ける音楽やメッセージが、“何かしらのきっかけ”になればいいなと思っています。

――そのTOKYO FMのラジオ「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」(月~木曜・午後1時~2時55分)は評判を呼んでいる一方、ラジオ自体を聞かない人も増えています。改めて魅力を教えてください。

山崎: 生活の中で、無理なく情報や人の話をキャッチできる点が魅力的です。私も20歳前後は学業と仕事の両立などでバタバタしていて。それでも、ラジオがあったから社会の動きや人の価値観に触れられました。何かをしながら聞けるので体力を使わないし、ふとした瞬間に引っかかった言葉が新たなきっかけにもなる。みなさんにとってラジオが生活の一部になったらいいなと思って、喋っています。私自身も、ラジオによって物事を考える幅が広がりました。生活の一部にすると様々な気づきを得たり、救ってくれる言葉が見つかったり――。孤独を肯定できる媒体だと思います。

様々なフィールドでの活躍の中、見据える将来

――ラジオ以外にも幅広く活動されています。今後の目標はありますか。

山崎: ラジオを含め今、関わらせていただいている番組や発信を極力、負荷をかけずに浸透させていくことです。じわじわ人々の生活圏に入り込んでいく。そして、いつのまにか知らず知らずのうちに“自然にある存在”にしたいんです。空気のように「そういえば、いた」となるのが目標ですね。ちょっとぼんやりしていますが、「浸透させる。染みこませる」を目指しています。

●山崎怜奈(やまざき・れな)さんのプロフィール
1997年生まれ、東京都出身。2013年よりアイドルグループ「乃木坂46」の2期生として活動する。16年、慶応義塾大学に進学し20年に卒業。現在はクイズ番組の出演やラジオパーソナリティなど多方面で活躍。ひかりTV・dTVチャンネルで配信された「乃木坂46山崎怜奈 歴史のじかん」から抜粋した対談と、書き下ろしのコラムを合わせた初の著書『歴史のじかん』(幻冬舎)を今年2月に発行した。

ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。