自分を変える、旅をしよう。

人生のレールから外れることが怖かった。世界が広がったのは、旅することで「何とかなる」と知ってから。

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。12回目は、最近広告代理店を辞めて、世界一周の旅へ出る準備をしている女性にインタビュー。前半では、旅に出るまでの悩み、旅にハマッたきっかけなどをうかがいました。
旅は「自分自身を思い出すため」のもの。インドに行ったぐらいで私の人生観は変わらない 「私は世界で生きている78億分の1」新型コロナウイルスで世界一周の旅に出発できなかったけれど、前向きでいられる理由とは?

●自分を変える、旅をしよう。#12 中村安衣(28)前編

リーマントラベラーの東松寛文です! 今回はつい最近まで僕と同じ広告業界で働いていた中村安衣さんに登場してもらいます。会社を退職して世界一周の旅に出る直前に新型コロナウイルスの影響で、海外に渡航ができなくなったしまったそう。前半では、いつでも前向きな中村さんが旅好きになるまでを聞きます。

リーマントラベラー東松(以下、――):旅行業界は新型コロナウイルスの影響が深刻ですね。中村さんも世界一周に出発できなくなってしまったとか。まず中村さんの原点からうかがいたいのですが、これまで何カ国へ旅をしてきましたか?

中村安衣さん(以下、中村): まだまだ国数は少ないのですが……6カ国32都市ぐらいです。アメリカに2年間留学したいた間もかなり国内旅行をしたので、細かく数えたら訪問都市数はもっとあるかもしれません。

フロリダ州シエスタキー・ビーチの夕暮れ

――現在のように旅にハマる前は、旅に対してどんな考え方をしていましたか?

中村: 実は、子どもの頃からなぜか海外志向ではありました。海外に行きたい気持ちは強かったです。一度は日本の外に出て、自分が生きている世界とは全く違う場所や文化を見てみたいという欲があったので、留学も考えていました。でも、学生の頃はずっと体育会系の部活に入っていたし、受験や就職など、日本では当たり前とされるライフイベントを目の前にして、同級生と足並みをそろえておかないと不安でした。「レールから外れる」という選択肢が、当時の私の中にはなかったんです。

――日本では「レールから外れる」のは相当大きなことですよね。その時に感じていた悩みや気にしていたことはありますか?

中村: 海外に行きたい気持ちはあったものの、「部活を休んでまで行けない」とか「海外旅行にはお金がかかるから、お金を貯めてからじゃないと行けない」とか「仕事のスケジュールが見えないから計画できない」とか、必要以上に周りの目やタイミングを気にして、行きたい気持ちを抑え込んでいたような気がします。周りにそこまで旅をしている人がいなかったし、リアルな旅の情報に触れていなかったことも問題でしたね。

カリフォルニア州ヨセミテ国立公園

――いろいろ考えすぎてしまうと、逆に行くタイミングを逸してしまうことってありますよね!ところで、中村さんはいつから旅をしているんですか?

中村: 初めて自発的に旅をしたのは、2016年の夏でアメリカに留学していた時です。ワシントン州にある「ロペス島」という島に行きました。シアトルの近くに位置していて、「ワシントン州の宝石」と呼ばれるサンファン諸島に属する島のうちのひとつです。なぜここを選んだかというと、私が通っていた中学校がロペス島の学校と姉妹校を提携していて、中学2年生の頃に交換訪問制度を使ってホームステイしたことがあるんです。いつか、もう一度訪れることがずっと夢だったんです。

ワシントン州・ロペス島を訪れ、先生たちと再会したときの1枚

――おー!それはワクワクする一人旅ですね。

中村: 行くと決めてから、当時のホストファミリーや学校の先生をFacebookで必死に探し出し、11年越しに連絡を取りました。初めての一人旅だし、行き方も複雑でドキドキでしたが、到着した当日、現在も島に残っている当時の先生や生徒たちが集まってパーティーを開いてくれたんです!みなさんからは、「帰ってきたのはあなたが初めてよ!」と言われました(笑)。でも、肝心のホストファミリーは残念ながら、ウクライナ旅行中という……。
これをきっかけに、またロペス島のみなさんと連絡を取り合うようになり、今でも交流が続いています。ほんの少し行動することで、消えかけていたものが蘇ったり、新しい縁が生まれたりすることを身をもって体験しました。さらに、「意外と何とかなるもんだな」と旅が気楽なものにも思えたんです。

――素敵な人たちが住んでいる島なんですね!ちょっと行ってみたくなりました。この経験もそうだと思いますが、中村さんが旅にハマったきっかけはいつ、どこへ行った時ですか?

中村: 私が本格的に一生旅を続けようと思ったきっかけは、友人たちと行ったアメリカ中西部のロードトリップです。ニューメキシコ州、テキサス州、ユタ州、アリゾナ州の国立公園や街をひたすらレンタカーで巡り、10日間で約3,200kmを走行しました(笑)。とにかくアメリカ大陸は、広すぎる!と身をもって感じました。州によって全く違う国のように、景色も人の雰囲気も変わります。ここはいったい西暦何年なのかと呆然としてしまうくらい壮大なキャニオン群や砂漠地帯……。「この景色がこの1国のうちのほんの一部なのだから、世界はどれだけ広いんだろう……」と愕然としたのを今も覚えています。

アリゾナ州グランドキャニオンで

――世界ってまだまだ知らないところがたくさんありますね。僕もいつもそう思っています。ところで、中村さんがリーマントラベラーを知ったキッカケを教えてください。

中村: どうしても働きながら旅を続けたかったのですが、長期の休みは年に何回も取れないし……といつも嘆いていました。ふと、週末だけで行ける国ってどのくらいあるんだろう?と気になり、「週末 海外旅行」とGoogleで検索してみたんです。すると、東松さんの記事にヒット!
プロフィールを見ると、私と同じ広告業界の方で、すごく親近感がわきました。東松さんも忙しい日々を送っているはずなのに、とてもアクティブで、パワフルで、「この人についていくしかない」と思い、即オンラインサロンにも入会しました(笑)。

――ありがとうございます!それによって、旅のスタイルや普段の生活で変化したことはありますか?

中村: まず、1日の中で旅のことを考える時間が増えましたし、貪欲に世界の情報を取りに行くようになりました。オンラインサロンのみなさんが本当に知識豊富で、面白エピソードもたくさんお持ちなので……日本で働きながらでもこんなに旅行できるんだ!と固定概念が覆されました。また、忙しさや年齢は言い訳にできないなとも考えるようになりました。「次の定例会までにネタ仕入れなきゃ!!」と毎回意気込んでオンラインサロンのイベントにのぞんでいます。

後編もお楽しみに!

旅は「自分自身を思い出すため」のもの。インドに行ったぐらいで私の人生観は変わらない 「私は世界で生きている78億分の1」新型コロナウイルスで世界一周の旅に出発できなかったけれど、前向きでいられる理由とは?
平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー