食べ方は、生き方だ。01 ーニューヨークの朝ごはんー

平日は手軽に、休日は楽しんで食べる―食べ方は、生き方だ。01

ご飯の食べ方を聞いたら、その人の人生への向き合い方もなんとなく分かるもの。ニューヨークに住むミレニアル女性のある日の朝ごはんを通して、ニューヨークの文化や女性たちの生き方を見つめます。ミーティングプランナーとしてマンハッタンで働くHさんの朝は、オフィスで気取らずに、始まりました。

●食べ方は、生き方だ。01 ーニューヨークの朝ごはんー

  • 本日の朝ごはん:バナナ、リンゴ、水1杯
    ミーティング・プランナー(35)

 ニューヨーク、マンハッタンの中心にあるオフィスに着くと、Hの机の上にバナナとリンゴが置いてあった。これが彼女の本日の朝ごはん。「毎朝オフィスにはフルーツが用意されていて、自由に食べていいことになっています。でも、9時ごろにはもうほとんどなくなってしまうので、同僚が時々こうして私のためにとっておいてくれるんです」

 Hはフランス人。パリで働いていたが、1年半前に希望してニューヨークに赴任してきた。スポーツと旅行が大好きというアクティブな女性だ。仕事前や退社後のトレーニングを欠かさない。「アンダーウォーターホッケー」なる競技の米国ナショナルチームのメンバーでもある。今年7月、カナダのケベックで開催される世界チャンピオンシップに、アメリカ代表として出場できることを誇りに思っているという。スポーツのおかげで、ニューヨークという異文化で友達もできた。「お互いに年齢、仕事、教育などが違っていても、共通の趣味や興味があれば仲間になれる」。

朝ごはんは、フルーツ2つとコップ1杯の水

 そんなスポーツウーマンの朝ごはんは、さぞかし気合いの入ったメニューなのだろうと思いきや、フルーツ2つとコップ1杯の水という、まるでダイエット中かと思うような食事。こちらの並々ならぬ先入観はかる〜くかわされた。

「平日は手軽に食べられる朝ごはんがいいんです。食べることより、寝る時間を確保することのほうが大事なので。フルーツを食べるのは、好きだし身体がビタミンを欲しているから」と、バナナを片手にパソコンに向かった。

 一方、休日の朝食は楽しむための食事だそうで、ジョギングの後に食べるのは、ベーグルとヌテラとか、シリアルにチョコーレートとミルク、フルーツとヨーグルトなどなど…。あれ、野菜は? スポーツで鍛えたその筋肉を維持するためのタンパク源は??
 「本当はもっと栄養とかカロリーとか、考えたほうがいいですよね。でも、あれこれ我慢するばかりが人生じゃないでしょ。人生はやっぱり楽しくあるべき! 休日の朝ごはんは“人生を楽しむ”という私のモットーを実践するのにうってつけなんです」

マンハッタン中心部で働くミーティングプランナーのHさん(35)のオフィスには毎朝フルーツが置かれていて、自由に食べていいことになっている。
  • ○ニューヨークってどんな街?
     ニューヨークの生活に慣れるまでは戸惑いもあった。
    「フランス人はお世辞を言わない。フランス人が『グレート』と言ったら、そのまんまグレートという意味。でも、ニューヨークでは、グレートがオーケーくらいの意味なんです。そして、仕事で『オーケー』と言われたら、それは“オーケー”じゃなくて、『わかった。もう一度やり直して』っていうことなの。フランス人は、そういうときは『これじゃダメだからやり直して』って言うんだけど」
  • ○落ち込んだり、後悔するときってある?
     話の内容も表情もおおらかでダイナミック。彼女なら、落ち込んだり後悔するようなことがあっても、上手に気持ちを切り替えられそうだ。そもそも後悔することなんてあるの?と率直に聞いてみると、胸のすくような答えが返ってきた。
  • 「後悔したくないから、私はいつもベストをつくしています。資料をよく読んだり、プレゼンの前に十分な準備をしたり、やれることはすべてやっているのにいい結果が出せないとしたら、自分にやれることはもうないんだから、後悔するなんておかしいでしょう。マネージャーが判断を誤って、ふさわしくない人材(私)をこの仕事につけてしまったということです。この仕事はほかの人のほうがいいと言われたら、『わかりました。仕方ありません』って言うだけです」

 

ライター。東京での雑誌などの取材・インタビュー・原稿執筆などの仕事を経て、2000年に仕事と生活の場をニューヨークに移す。
食べ方は、生き方だ。