ついに緊急事態宣言、生活はどう変わる?
「フランスがやっているロックダウンができるのかと言えば、できない」。安倍晋三首相は4月1日、参院決算委員会でこのように述べました。新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発出されても、フランスのように、禁じられた外出をした違反者に罰則を科すことは日本ではできない、と明言しているのです。
実際、緊急事態宣言が出されても、スーパーで食料品や医薬品などの生活必需品を買うことはできるし、電気やガス、水道といったライフラインは止まりません。鉄道は運行され、幹線道路も封鎖されず、職場へ通勤することもできます。医療機関に行くことも可能。つまり、最低限の生活を維持するための行動は、制約を受けません。安倍首相が6日に「経済・社会活動を可能な限り維持をしながら、感染拡大を防止していく」などと語った通りです。
違反で罰則は?
ただ、私権が一部制限されるのは事実です。対象地域や1カ月程度という期間を定めるのは首相ですが、実際の緊急事態措置を講じるのは、対象地区域の都道府県知事になります。
では、都道府県知事は、住民のどんな行為を制限できるのでしょうか。
知事が必要と判断すればできることは、住民への不要不急の外出の自粛要請や、イベントの開催制限の要請、指示などです。東京都では小池百合子知事が、小学校から大学の施設の原則、使用停止や、居酒屋や映画館、ナイトクラブなどの休業を要請する見込みです。小池知事は6日、「みなさんご自身を守るため。家族を守るため。大切な人を守るため。私たちが生活する社会を守るためです」と理解を求めました。
大阪府も幼稚園や小中学校、映画館などの使用制限をする見通しです。
といっても、要請や指示に違反しても罰則はありません。それでも、単なる外出自粛“要請”でも多くが従う日本人の国民性を考えると、法律に基づく要請は心理的に強い効果があるとみられています。また、イベントの制限や指示を出された事業所の名前は公表される可能性があり、強制力を持ったものとして受け止められることになりそうです。
一見、穏当に見えますが、医薬品やマスクの保管を命じたのに従わない場合は罰せられたり、臨時の医療施設のための土地や建物を同意がなくても使用できたりするなど、一定の強制力をともなう側面もあります。
期間は5月6日まで。爆発的な患者の増加(オーバーシュート)に至るのか、それとも収束に向かうのか――。生活者1人ひとりの今後の行動にかかっています。