心身の不調に悩むミレニアル女性必読。女性専門医が語る「体験して見つけた、不調の乗り越えかた」

仕事に遊びに忙しい20~30代。女性ホルモンのバランスが崩れ、心身の不調を感じていても、生活を見直すのはそう簡単ではありません。そんな女性たちの相談にのってきた成城松村クリニック院長の松村圭子医師も、実は同じような道をたどってきたそうです。ご自身の経験をもとに、アドバイスをいただきました。

「自分の体調のことはわかっている」という過信

松村さんのクリニックにも、20代〜30代の女性たちが不眠や冷え、肩こり、頭痛、気分がすぐれないなどの悩みを抱えて訪れるそうです。

「これまで、こうした症状を訴える患者さんたちに生活習慣の改善や食事の大切さを伝えてきました。でも実は私自身、食事は外食やコンビニのお惣菜で済ませるなど、言うほど実践できていませんでした」

それでも30代まではなんとかまわっていたと言います。医師という職業柄、当時はどんなに忙しくても仕事を休むわけにはいかず、「医者だから知識もあるし、自分の体調のことはわかっている」という過信から、そのままの生活を続けていたそうです。

そんな生活が一変したのは46歳の時。更年期にさしかかり、忙しさもあって体調を急激に崩し、ひどい倦怠感に見舞われて起きているのもつらくなったそうです。「このままでは倒れてしまう」と思い、生活全般を見直そうという一大決心をしたと言います。

松村さんはいま、どんなリズムで生活をしているのでしょうか。

「毎日1時間くらいかけて料理をします。最初は面倒くさいと思うかもしれませんが、料理を作るという行為は意外といい運動になります。以前は帰宅して、買ってきたお惣菜をあけてテーブルについてお酒を飲み始めたら、そこからまったく動かなかったので」(笑)

「忙しくて食事の支度なんてできない」と逃げていた

人間関係も大きく変わりました。ムダな飲み会に行かなくなったことで、本当に大事な人との関係が深まり、友だちとの食事は自宅に招いて料理をふるまうスタイルに転換。家にいる時間が長くなると、居心地の良い空間にすべくインテリアに凝ったり、家の中を掃除することが増えたりと、「いいことづくめ」だったそうです。

「食事は休みの日にまとめて作り置きし、仕事で忙しいときは常備しているレトルト食品を使うこともあります。朝ごはんも、タンパク質を取るために納豆を食べたり、お湯を入れるだけでできるフリーズドライ味噌汁を使ったりと、以前に比べたら自分自身の体を整えることに気を遣うようになりました」と松村さん。

料理というと、「忙しい」「苦手」とやる前から敬遠してしまう人が多いかもしれませんが、松村さんのように、「最初の一歩」を踏み出すことが大切です。

「手軽な食品をうまく取り入れるといいですよ」と松村さん。「完璧である必要はありません。私も以前は忙しくて食事の支度なんてできないと思っていたけれど、いまこうしてできています。人間、本気で変えようと思えばできるのです」

人それぞれ対処法は違う。ストイックになりすぎない

松村さんが、簡単にできる食生活改善のアドバイスを教えてくれました。

「食事はまず主菜から決めます。例えば昼食をコンビニで買う人は、まずはサラダチキンなどのたんぱく質系の商品を選び、それからおにぎりを追加しては。菓子パン派ならハムや卵の入ったサンドイッチを。鯖缶などの缶詰もいいですね」

料理にハマってからは、テレビ番組の『今日の料理』を見続け、女子栄養大学の「食生活指導士」の資格を取ったそうです。時には、昼食はチキンラーメンというときもあるそうですが、その場合は朝食と夕食を工夫することで1日の食事全体でバランスを整えるようにすることがポイント。「ストイックになりすぎない、無理をしないことです。がんばり過ぎることでストレスをためてしまったら元も子もないですから」(松村さん)。

ミレニアル女性が感じる心身の不調は、個人により症状の差があります。不調があればまずは無理をしないこと。そして、医療機関に行って相談し、同時に自ら生活習慣を見直すこと。上手にセルフコントロールすることが、公私ともに充実した20代や30代を過ごすための必須条件の時代なのかもしれません。

●松村 圭子(まつむら けいこ)先生 プロフィール
成城松村クリニック院長。産婦人科専門医。婦人科疾患のみならず、女性のトータルケアをサポートする。専門医として、月経トラブル、性感染症、更年期障害など女性のあらゆる不調に対応するために、西洋医学だけでなく漢方薬やサプリメントなども積極的に治療に取り入れている。

明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。