国際教育プロジェクトマネージャー(33歳)

いつ結婚するかより、いつ子どもを持つかを考えています。

国際教育プロジェクトマネージャー(33歳) 彼女は共通の友人宅のパーティーにボーイフレンドと来ていた。少し会話しただけだったが、今の生活を目一杯楽しんでいる印象を受けた。競争が激しく、生活費も高いニューヨークで、彼女はどのように生活を楽しんでいるのだろう。また、ボーイフレンドとの結婚についてはどのように考えているのだろう。楽しい話が聞けそうな気がして、後日彼女の家を訪れた。

 国際教育関係の仕事をしています。海外からの留学生の受け入れや、アメリカから海外へ行く留学生や研究者をサポートするのが私の仕事。さまざまな文化に接することができるところが好きです。

 日本から博士課程の勉強のためにアメリカに来た女性が、ひどく落ち込んで私のところに来たことがありました。私は「少し休みをとって、日本の家族と会って来たら?」と言ったんです。私だったらそうするから。でも、彼女は泣きながら、「アメリカの博士課程で学んでいる私を誇りに思っている家族に、今の状態ではとても会えない」と言うんです。

 また、インドネシアからの留学生は、家族を国に残して留学し、母や妻としての役目を果たせていないことに罪の意識を持っていました。アメリカでは家庭内は男女平等ですが、南アジアではもっとジェンダーロールがはっきりしているんですね。私が当たり前だと思っていたことが、文化によっては当たり前ではないこともある。彼らにとって何が問題なのか知ることは、とてもいいレッスンでした。

いつ結婚するかというより、いつ子どもを持つか

 あ、彼が買い物から帰ってきました。彼と知り合ったのは7年前。同じ学校で、私が修士課程、彼が博士課程で学んでいるときでした。一緒に暮らすようになってからは4年になります。

 料理は彼の担当なんですよ。私より上手だし、それになんたって、”He LOVES cooking!”今日はイースターだからラム料理を作ってくれます。私? 洗濯担当です。彼は洗濯が嫌いだから。合理的でしょ? 掃除は2人でやります。

 私は33歳、彼はもうすぐ35歳になるので、いつ結婚するか、というより、いつ子どもを持つか、を考えます。今後、数年間のうちに子どもを持ちたい。そして、2人で一生懸命働いてお金を貯めて、アパートを買って、それからウエディングかな。

 彼とはもう長く一緒にいて、お互いに相手が何を大切にしているか理解しているし、よく話し合うようにしているので、意見が合わなくて対立することはありません。うまくやっていくにはバランスを保つことが大事だと思います。どちらか一方だけがハッピー、ではなく、2人ともハッピーになるように。

ニューヨークはグレートな街。でも、ここで暮らすのはチャレンジング

 ニューヨークは大好きな街だけど、家賃も物価も高い。ここでの生活はチャレンジの連続です。もっと小さい街のほうが大きな家に住めるし、貯金もできるし、暮らしやすいだろうと思います。将来はヨーロッパやメキシコに住みたいという気持ちもあるんです。でも、今は2人ともここで働いているから……。

 ニューヨークで生活を楽しむコツですか? そうだな。ニューヨークは学ぶ機会が多いと思います。学費を払わなくても、無料のワークショップとかボランティアとか。そういう機会を利用してキャリアアップに繋げていけます。何か得意なことがあったら、例えば、家庭教師などで副収入を得ることもできる。

 それにニューヨークをよく知るようになると、安くて美味しいレストランがあることもわかってくる。今年は車を買ったので、彼と週末に地元クイーンズをドライブしたり、レストラン巡りをしたりします。クイーンズは移民の街なので、外国に行かなくても外国旅行気分が味わえるんです。

 反面、何かを諦めなければならないこともありますね。2人ともタンゴが大好きで、はじめのうちはどんどん上達するから楽しくて、よく踊りに行ってたんです。でも、ある程度上達したところで、「タンゴにもっとお金をかけてさらに上達したいか?」と考えました。そして、タンゴは月に12度楽しむ程度にして、もっと他の趣味を探すことにしました。

 将来のプランをきっちりと立てるのは好きじゃありません。人生にはいろいろなことが起きると思うから、フレキシブルでいたい。でも、今の仕事に就いて6年になるので、そろそろ何か違う仕事がしたいと思っています。収入ももちろん大事ですが、私にとっては使命感を感じられることが大切なので、そういう仕事を探したいな。

ニューヨークにて

ライター。東京での雑誌などの取材・インタビュー・原稿執筆などの仕事を経て、2000年に仕事と生活の場をニューヨークに移す。